歯列矯正で若返る?広告・症例写真と口元変化の見方

歯列矯正の前後で「若く見える」と感じる人はいても、歯列矯正は年齢による顔の変化を元に戻す治療ではありません。歯や唇の見え方が変わる可能性と、皮膚や顔の脂肪の変化を分けて考えます。症例写真の印象だけで、自分にも同じ見た目の変化が起きるとは判断できません。

矯正で変化する可能性がある部分

歯の位置が変わると、笑ったときに見える歯の量、歯列の幅の見え方、唇の閉じやすさ、前歯による唇の支えが変わることがあります。抜歯の有無だけで結果が決まるのではなく、元の骨格、前歯の位置、歯の移動方向、唇の厚さなどが関係します。

軟組織(皮膚、唇、頬、筋肉など骨以外の組織)の反応には個人差があり、歯を何ミリ動かせば唇が同じ量だけ動く、とは言い切れません。治療前後の規格写真(同じ姿勢・距離・表情で比較する写真)とセファロ(顎と歯の位置を測る頭部X線規格写真)を使って評価します。

矯正で変わる部分と変わらない部分

歯並びとかみ合わせは矯正の主な治療対象で、前歯に支えられる唇の位置も変化する可能性があります。ただし、変化の予測には幅があります。

一方、皮膚のしわ・色・弾力、頬の脂肪や靱帯の加齢変化は矯正の治療対象ではありません。成人の顎骨に大きな位置異常がある場合も、通常矯正だけで骨格を動かすことはできません。

気になる部分矯正相談で確かめること
笑ったときの歯の見え方歯の位置を変える計画で、どの見え方を目標にするか
唇の位置や口の閉じやすさ歯の移動で変化を見込めるか、予測の限界は何か
しわ・皮膚・頬の脂肪歯列矯正の治療対象外であることを踏まえ、別の相談先が必要か

2022年の論説は高齢期の顔と矯正の関係を論じ、症例を2件紹介しています。すべての成人で若返り効果が得られると確かめた比較試験ではありません。

ビフォーアフター写真だけで決めない

照明、カメラ位置、表情、化粧、体重が違う写真は、口元の変化を大きく見せることがあります。自分と似た年齢の症例写真でも同じ結果を保証するものではありません。診断記録と治療計画の説明を優先してください。

カウンセリングで伝える希望

「若返りたい」だけでは治療目標が曖昧です。笑ったときの歯の見え方、口が閉じにくい、前歯の突出、かみ合わせなど、改善したい点を具体的に伝えます。

そのうえで、矯正で変えられる可能性がある部分と変わらない部分を、規格写真と治療計画を使って説明してもらいます。美容医療も検討する場合は、まず矯正計画と治療後の評価時期を担当の歯科医師に確認し、必要に応じて形成外科・美容外科など対象部位を診療する医師へ相談します。

参考情報


参考
矯正歯科治療について日本矯正歯科学会


参考
Rejuvenation of the ageing face and the role of orthodontics: Guidelines for management (J Orthod, 2022)PubMed