指しゃぶりやおしゃぶりがあるからといって、必ず歯並びが悪くなるわけではありません。影響は、習慣が続く時期、1日の頻度、吸う力などによって変わります。
大切なのは、子どもを叱って急にやめさせることではなく、歯並びやかみ合わせの変化を見ながら、本人が取り組める方法を考えることです。この記事では、家庭で確認できる変化と歯科へ相談する目安を整理します。
影響は「ある・ない」ではなく、続き方で変わる
指やおしゃぶりを吸う力が歯や上あごへ繰り返しかかると、上の前歯が前へ傾いたり、前歯が閉じにくくなったりすることがあります。ただし、同じ年齢でも習慣の強さや歯の生え替わりは一人ずつ違います。
米国小児歯科学会は、おしゃぶりが18か月を超えて続くと、口や顔の成長へ影響する可能性を示しています。指しゃぶりについては、英国矯正歯科学会が、吸う頻度・強さ・1回に続く時間が影響に関係すると説明しています。いずれも海外の方針であり、日本のすべての子どもへ同じ期限を当てはめる基準ではありません。年齢だけで判断せず、現在の歯並びと習慣を歯科で一緒に確認することが大切です。
家庭では前歯だけでなく、奥歯のかみ方も見る
気になる変化があれば、口を閉じた正面と左右から写真を撮っておくと、診察時に経過を伝えやすくなります。写真だけで診断はできませんが、次のような変化を確認する手がかりになります。
前歯を閉じても上下に隙間がある
奥歯をかんでも前歯が触れない状態を、開咬(かいこう)といいます。食べ物を前歯でかみにくい、舌が隙間から出るといった様子が伴うこともあります。
上の前歯が以前より前へ出て見える
指やおしゃぶりが前歯へ当たる向きによっては、上の前歯が前へ傾くことがあります。口を自然に閉じにくいと感じる場合も、見た目だけで決めつけず歯科で相談してください。
左右どちらかの奥歯が内側でかみ合う
上の奥歯が下の奥歯より内側でかむ状態は、交叉咬合(こうさこうごう)と呼ばれます。いつも同じ側へあごをずらしてかむ様子がある場合は、その場面も歯科医師へ伝えます。
相談を始める目安
乳歯の時期に指しゃぶりがあるだけで、すぐに矯正治療が必要とは限りません。ただし、次のどれかが当てはまるなら、定期健診を待たずに小児歯科または矯正歯科へ予約を取り、現在のかみ合わせを確認してもらうとよいでしょう。
- 前歯の隙間や出方が以前より目立つ
- 永久歯が生え始めても、吸う習慣が続いている
- 前歯で食べ物をかみにくい、発音しにくい様子がある
- 本人はやめたいのに、家庭での工夫だけでは難しい
診察では、いつ吸うことが多いか、寝るときだけか、本人が困っているかを伝えます。「いつまでにやめるべきですか」だけでなく、「今の歯並びに変化はありますか」「家庭では何から始めればよいですか」と聞くと、必要な支援を整理しやすくなります。
叱るより、本人と小さな目標を決める
指しゃぶりは眠いときや不安なときに落ち着くための行動になっていることがあります。無理に指を口から出す、からかう、罰を与えると、本人が隠れて続けたり不安が強くなったりするおそれがあります。
- 吸わずに過ごせた時間を具体的に認める
- まずはテレビ中など、本人が選んだ一場面だけ減らす
- 寝る前は読み聞かせや抱き枕など、別の落ち着き方を試す
- できた日を印で残し、失敗した日は責めずに再開する
苦い薬を指へ塗る、手を固定する、市販の器具を自己判断で使う方法は、皮膚や気持ちへの負担があります。試す前に小児歯科やかかりつけ医へ相談してください。習慣を止めるための装置が提案される場合もありますが、本人の意思、歯並び、成長段階を診たうえで決めるものです。
歯科へ持っていく情報
- 指しゃぶりとおしゃぶりのどちらか、両方か
- 昼、就寝前、睡眠中など、よく見られる時間帯
- いつ頃から続いているか
- 前歯の隙間、かみにくさ、発音で気になること
- これまで試した声かけと、本人の反応
歯並びに変化があるか、自然に戻る可能性があるか、矯正治療の検討が必要かは診察しなければ分かりません。家庭では「やめさせること」だけを目標にせず、本人が続けられる支援を歯科と相談してください。
確認した専門団体の情報
以下の専門団体・公的医療機関の情報を2026年8月15日に確認しました。海外の年齢目安は日本の一律基準ではなく、歯科へ相談する材料として参照しています。
参考
Policy on PacifiersAmerican Academy of Pediatric Dentistry
参考
Non-Nutritive Sucking HabitsBritish Orthodontic Society
参考
Advice for stopping thumb or finger suckingDorset County Hospital NHS Foundation Trust


