鏡や写真で顔の左右差に気付いても、その原因が歯並びだけとは限りません。左右差は多くの人にあり、歯の中心線、上下の顎の骨、唇や頬、筋肉、撮影角度などが重なって見えます。歯列矯正で変えられる範囲は、ずれが歯にあるのか、骨格にあるのかで異なります。
顔の歪みを4つに分けて考える
| 見る部分 | 何を確認するか |
|---|---|
| 歯の正中 | 正中は前歯の中心線です。上下の中心線と顔の中心がどの程度ずれているかを見ます。 |
| 顎の骨 | 下顎が左右どちらかへずれている、片側の長さが違うなど、骨格性の非対称を調べます。 |
| 軟組織 | 軟組織は皮膚、唇、頬、筋肉など骨以外の組織です。骨の左右差と同じ形で現れるとは限りません。 |
| 写真条件 | 顔の向き、カメラの高さ、レンズ、照明、表情が違うと左右差の見え方も変わります。 |
顔面非対称の評価には、問診、口の内外の診察、規格写真(毎回できるだけ同じ条件で撮る写真)、必要に応じたX線などが使われます。CTが全員に必要なわけではなく、追加画像の必要性は症例ごとに判断されます。
通常の矯正で変えられること・変えにくいこと
歯の傾きや位置が原因で前歯の中心線がずれている場合は、矯正で歯の位置を調整できることがあります。しかし、成人の顎骨そのものに大きな左右差がある場合、歯を動かすだけで骨格を左右対称にすることはできません。
骨格のずれが大きく、かみ合わせや生活機能に影響する顎変形症では、外科矯正が検討されます。外科矯正は、顎の骨を移動する手術と、その前後の矯正治療を組み合わせる方法です。美容目的の輪郭手術と同じではなく、適応、治療目標、リスクを矯正歯科と口腔外科で評価します。
歯の中心線がそろっても、鼻、頬、顎先、皮膚や筋肉の左右差が残ることがあります。治療前に「歯並び」「かみ合わせ」「顔の見た目」のどれをどこまで変えられる見込みか、別々に説明を受けてください。
相談時に持参すると役立つ情報
いつから左右差が気になるか、成長とともに大きくなったか、顎をぶつけた経験、口を開けるときの痛み・音、片側でかむ癖を伝えます。過去写真は変化の時期を知る手掛かりになりますが、撮影条件が異なる写真だけで治療効果を判定しません。
顔半分の動かしにくさやしびれ、ろれつの回りにくさ、片側の手足の脱力、突然の激しい頭痛が現れた場合は、歯並びの問題と考えず119番へ連絡してください。
まとめ:最初に「どこがずれているか」を診断する
相談では、歯の正中、顎骨、軟組織を分けた診断結果を聞きましょう。矯正単独で目指せる変化、外科矯正を検討する条件、残る見込みの左右差まで確認してから治療方法を選ぶことが大切です。
参考情報
参考
あごがねじれている日本口腔外科学会
参考
Facial asymmetry: a current reviewPubMed
参考
こんな時は迷わず119へ厚生労働省

