外科矯正とは?噛み合わせを改善するための治療方法

外科矯正は歯と顎の骨を一緒に治療します

外科矯正は、歯並びを整える矯正治療と、顎の骨の位置を変える手術を組み合わせる治療です。歯科矯正と口腔外科が連携し、検査、手術前の矯正、入院手術、手術後の矯正、保定までを一つの計画として進めます。

緊急時の目安

呼吸が苦しい、出血が止まらない、意識がおかしい場合は、退院時の連絡先または119番へ連絡してください。

どのようなときに検討されるのか

顎変形症(がくへんけいしょう)は、上顎や下顎の大きさ・形・位置のずれによって、かみ合わせや顔のバランスに問題が生じている状態です。歯の移動だけでは十分な改善が難しいと診断された場合に、外科矯正が選択肢になります。

代表例には、下顎前突(下顎が上顎より前に出た受け口)、上顎前突(上の前歯や上顎が前方に出た状態)、開咬(奥歯をかんでも前歯などが閉じない状態)、顔の左右差があります。ただし、見た目だけで手術の要否は決まりません。かみ合わせ、食べにくさ、発音などを含めて診断します。

診断では、口の中の検査や歯型に加え、セファロ(頭部X線規格写真)を使って、歯と顎の骨の位置関係を一定の条件で分析します。顔貌とは、正面や横顔を含む顔全体の見え方のことです。必要に応じてCTなどを追加しますが、検査内容は症例ごとに異なります。

通常の矯正・カモフラージュ治療・外科矯正の違い

治療主に変えるもの確認したい点
通常の矯正歯を動かして歯並びとかみ合わせを整えます。顎の骨格的なずれを歯の移動だけでどこまで補えるかを確認します。
カモフラージュ治療手術をせず、歯の位置や傾きで骨格的なずれを目立ちにくくする矯正です。顎の骨の位置そのものは変えません。歯を動かせる範囲、治療後の口元、かみ合わせの見込みを確認します。
外科矯正矯正で歯を整え、顎離断手術(顎の骨を切って適切な位置へ移動する手術)で骨格の位置を変えます。入院・全身麻酔・合併症を含む手術の負担と、期待できる改善を比較します。

「手術を受けたくない」という希望は大切ですが、どちらの方法でも同じ結果になるとは限りません。相談時には、手術をする案としない案について、歯の傾き、かみ合わせ、顔貌、再治療の可能性、手術固有のリスクを同じ資料で比べてもらいましょう。

外科矯正はどのように進む?

STEP.1
矯正歯科と口腔外科で診断
セファロなどの資料を基に、歯の移動だけで対応できるか、手術を組み合わせるかを検討します。
STEP.2
手術前の矯正
手術後に上下の歯が合うよう、あらかじめ歯の位置を整えます。見た目のかみ合わせが一時的に変わることもあるため、事前に説明を受けます。
STEP.3
入院して顎の手術
口腔外科で顎の骨を移動します。手術方法、入院中の食事、腫れ、しびれなどについて確認します。
STEP.4
手術後の矯正と保定
かみ合わせを仕上げた後、保定(動かした歯が戻らないよう安定させる期間)へ進みます。

手術先行方式は別の治療ではない

一部の施設では、手術前の矯正を行わないか、ごく限定して先に手術を行う「手術先行方式」が検討されることがあります。これは外科矯正の進め方の一つで、通常矯正や手術をしない治療とは別です。すべての人に選べる方法ではないため、適応、手術後の歯の動かし方、施設間の連携、保険診療の扱いを実施施設へ確認してください。

痛み・腫れ・しびれ

術後には痛みや腫れが生じ、口を開けにくいことがあります。下唇や顎の周囲にしびれが残る可能性など、手術固有の合併症については口腔外科医から説明を受けます。診察では「自分が受ける手術で多い症状」「退院後に連絡すべき変化」「夜間・休日の連絡先」を聞いておきましょう。

費用と保険適用

日本矯正歯科学会によると、顎離断等の手術が必要な顎変形症では、手術前後の矯正が保険診療の対象になる場合があります。ただし、どの歯科でも保険になるわけではありません。厚生労働省の施設基準を満たし、地方厚生(支)局へ届け出た保険医療機関で治療を受けることが条件です。

初診時には、その施設が保険診療の届出医療機関か、矯正と手術をどの病院が担当するか、入院費を含めた見込み、高額療養費制度の案内先を確認してください。診断や治療内容によっては自由診療になるため、契約前に書面の見積もりを受け取ります。

よくある質問

手術だけ先に受けられますか?

手術先行方式を扱う施設はありますが、希望だけで決められるものではありません。歯の位置や手術後の安定を含む診断と、矯正歯科・口腔外科の連携体制が必要です。

外科矯正の痛みはいつまでですか?

痛みや腫れの経過は手術法や体調で異なるため、一律の日数では示せません。処方された薬で対処できないほど痛みが強くなる、出血が続く場合は退院時の連絡先へ相談し、呼吸が苦しい、意識がおかしいときは119番へ連絡してください。

まとめ

外科矯正を検討するときは、手術をする案としない案の予測を同じ条件で比べることが出発点です。担当する矯正歯科と口腔外科、手術前後の流れ、保険診療の届出、退院後の連絡先まで確認してから判断しましょう。

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参考情報

以下の公的機関・専門団体情報を2026年8月10日に確認しました。


参考
矯正歯科治療が保険診療の適用になる場合とは日本矯正歯科学会


参考
矯正歯科治療について日本矯正歯科学会


参考
成長期の骨格性下顎前突に対する矯正歯科治療の診療ガイドライン日本矯正歯科学会


参考
開咬の矯正歯科治療の診療ガイドライン日本矯正歯科学会


参考
後悔しない矯正歯科へのかかり方日本臨床矯正歯科医会


参考
Surgery-first orthognathic approach vs conventional orthognathic approach: A systematic review of systematic reviewsPubMed