「子どもの奥歯を抜く必要がある」と言われたら、まず抜く歯が乳歯か永久歯かを確かめてください。6歳臼歯と呼ばれる第一大臼歯は、乳歯のさらに奥へ生える永久歯です。抜いた場所へ、同じ歯が生え直すわけではありません。
それでも、ひどく傷んで残す見込みが乏しい場合には、抜歯が選択肢になります。大切なのは、その歯を残せるかと、抜いた後の歯並びをどうするかを一緒に考えることです。
残す治療と抜歯を、将来の見通しまで比べる
抜歯の理由は、虫歯の大きさだけでは決まりません。痛みや感染の状態、歯を直して使える見込み、これから繰り返し必要になりそうな治療も関係します。
英国王立外科医師会の2023年指針は、状態の悪い第一大臼歯を計画的に抜く際、小児歯科と矯正の視点を合わせて検討するよう示しています。日本で治療を受ける場合も、担当歯科で「残すならどんな治療が必要か」「抜くなら矯正歯科の診察も必要か」を聞くと、案の違いが分かります。
後ろの歯が前へ来ても、必ずきれいに並ぶとは限らない
第一大臼歯のさらに後ろには、第二大臼歯という永久歯が育ちます。抜いた場所へこの歯が前進し、すき間を埋めることを期待する計画があります。
ただし、歯が傾いたり、すき間が残ったりする可能性もあります。上の歯と下の歯では経過が異なるため、「抜けば後ろの歯が代わりになる」と一括りにはできません。
| 診察で調べること | 治療計画への関わり |
|---|---|
| 第二大臼歯の育ち方 | 根の発育や生える位置を見て、抜く時期とその後の動きを考えます。 |
| 上下・左右のかみ合わせ | すき間だけでなく、残る歯どうしがどうかむかを検討します。 |
| ほかの永久歯の有無と並び方 | 抜いた場所をどう使うか、矯正を組み合わせるかの判断材料になります。 |
抜く時期は「何歳なら大丈夫」では決まらない
第二大臼歯の発育と抜歯の時期には関係がありますが、年齢だけで適切な日を決めることはできません。診察やレントゲンで、その子の歯の育ち方を見る必要があります。
一方、痛みや感染への処置を、歯並びのための理想的な時期まで待てないこともあります。歯科で処置が必要と判断された場合は、歯並びの都合だけで延期せず、担当歯科と処置日や矯正相談の進め方を決めてください。
反対側や、かみ合う歯も抜く必要はある?
1本抜くからといって、健康な反対側や上下の歯まで必ず抜くわけではありません。複数本の抜歯を提案されたら、それぞれの歯を抜く理由を、かみ合わせの図とともに説明してもらいましょう。
抜歯を決める前の相談では、残す場合の見通し、抜く時期の理由、その後のすき間を誰が診るかをそろえておくと安心です。すでに抜いてある場合は、抜いた日と歯の位置を矯正歯科へ伝えてください。
参考情報
確認日:2026年8月26日。抜歯計画について参照した指針は、英国で2023年に発行されたものです。
参考
歯とお口の発生と育ち方日本歯科医師会
参考
A Guideline for the Extraction of First Permanent Molars in Children(2023年)英国王立外科医師会


