以前、歯の麻酔で動悸がしたり、気を失ったりしたことがあれば、次の注射を受ける前に歯科へ伝えてください。「麻酔が合わない」とだけ伝えるより、そのときに何が起きたかを説明すると、原因の確認と安全な準備につながります。この記事は、歯の周りをしびれさせる局所麻酔についての案内です。
動悸・失神・アレルギーは同じではない
注射の前後に気分が悪くなる理由は一つではありません。緊張や痛みをきっかけに血圧が下がり、意識を失うことがあります。これは「血管迷走神経反射」と呼ばれる反応です。呼吸が速くなりすぎる過換気も、体調の変化につながります。症状が出たことを「気のせい」と片付けず、経過を確認する必要があります。
麻酔薬の中には、作用を長持ちさせるためにアドレナリンを含む製剤があります。この成分の作用で、脈が速くなったり動悸を感じたりする場合もあります。動悸だけでアレルギーと決めることはできません。
一方、薬へのアレルギーなど、別の対応が必要な反応もあります。症状には重なる部分があるため、自分で病名を選ぶより、当時の記録を歯科医に見てもらうことが大切です。
参考
歯科で行う麻酔の注射、私は大丈夫?大阪大学歯学部附属病院
参考
安全な歯科局所麻酔に関するステートメント(2019年)日本歯科麻酔学会
「麻酔が合わない」から、具体的な記録へ
覚えている範囲で、次の内容をメモにして持参しましょう。薬の名前が分からない場合は、当時の歯科に、次の受診先へ伝えられる記録があるか尋ねてください。分からない部分を推測で埋める必要はありません。
| 記録すること | 思い出す手がかり |
|---|---|
| 症状 | 動悸、冷や汗、意識を失った、発疹、息苦しさなど |
| 症状が出た時刻 | 注射前、注射直後、帰宅後など、治療との前後関係 |
| 使った薬と処置 | 麻酔薬の名前、抜歯などの治療内容、同時に飲んだ薬 |
| その後の対応 | 横になって回復したか、薬や救急搬送が必要だったか、医師から受けた説明 |
過去にアレルギーと診断された場合は、その診断書や検査結果も見せてください。単に「具合が悪かった」という経験と、医療機関で確認されたアレルギーは分けて伝えます。
参考
Managing reactions to dental local anaesthetic injections(2024年)NHS Specialist Pharmacy Service
次の抜歯前に、使う薬と診療体制を話し合う
予約時点で過去の反応を伝えると、治療当日より前に記録を確かめる時間を取れます。持病と現在の薬も知らせ、麻酔方法の変更や、歯科麻酔を扱う医療機関での評価が必要かを担当歯科医に尋ねましょう。
アレルギーが疑われる場合は、専門の診療科での検査が検討されることもあります。使う麻酔薬を自己判断で指定したり、痛みを我慢して麻酔を省いたりするのではなく、過去の反応を踏まえた方法を話し合ってください。
診療中に具合が悪くなったとき、手を上げるなど、治療を止めてもらう合図も決めておくと伝えやすくなります。薬で不安や緊張を和らげる鎮静や全身麻酔を併用する予定がある場合は、飲食の制限も含め、受診先の指示を確認してください。
注射後に息苦しさ、喉や舌の腫れ、意識の異常が起きた場合は、診療中なら直ちにスタッフへ知らせます。医院を出た後にこうした症状がある場合は119番へ連絡してください。
資料確認日:2026年10月9日。

