歯列矯正は途中でも転院できます。ただし、装置と治療計画をそのまま引き継げるとは限らず、再検査、計画変更、新しい装置、追加費用が必要になる場合があります。
転院を決めたら、現在の医院へ転院希望と時期を伝え、治療の進み具合、費用の精算、紹介状と検査資料、転院までの装置管理を確認します。ここでいう精算とは、支払済み額と、すでに受けた治療分などを照らして残額を整理することです。転院先の受け入れが決まる前に通院を止めると、装置トラブルや治療の空白が生じるおそれがあります。
転院・セカンドオピニオン・解約の違い
| 方法 | 目的 | 現在の治療 |
|---|---|---|
| セカンドオピニオン | 別の歯科医師の意見を聞く | 原則として現在の医院で継続しながら相談する |
| 転院(転医) | 担当する医院を変えて治療を続ける | 資料と治療経過を新しい医院へ引き継ぐ |
| 解約・中止 | 現在の契約や治療を終了する | 別の医院で続けるとは限らない |
治療方針に不安がある段階では、まず現在の医院から説明を受け、セカンドオピニオンで別の歯科医師の意見を聞いてから決める方法もあります。引っ越しや閉院などで通院継続が難しい場合は、最後に通院できる日を伝え、転院先を探し始めます。
歯列矯正を転院する手順
転院時にもらいたい資料
日本臨床矯正歯科医会の規程は、原則として同会の会員から別の会員へ引き継ぐ場面を対象にしています。会員外や海外の歯科医師へも同じ対応を法律で義務付ける規程ではありませんが、引き継ぎに必要な資料を考える参考になります。
- 横顔の骨格を見るレントゲン(セファログラム)、パノラマなどのX線画像
- 顔面写真・口腔内写真
- 歯型、模型、口腔内スキャンなどの資料
- 治療前の診断内容と治療計画
- 使用した装置と、これまでに行った治療
- 治療費の契約内容と支払い済み額
- 転院時の精算内容
- 転院先への紹介状・治療継続依頼書
「○月に転居するため、矯正治療の転院を希望しています。転院先へ相談するため、治療前後のX線画像・写真・歯型またはスキャンデータ、診断と治療経過、使用装置、契約・支払い・精算内容を記載した紹介状の用意をお願いします。発行費用と受け取り可能日も教えてください。」
転院すると費用はどうなる?
転院時のお金は、主に「現在の医院との精算」と「転院先で新たにかかる費用」に分けて考えます。
| 確認先 | 書面で確認する内容 |
|---|---|
| 現在の医院 | 契約総額、支払済み額、実施済みの検査・装置・処置、未実施分、資料作成費、精算の計算根拠 |
| 転院先 | 相談・再検査・診断料、現在の装置を使えるか、新しい装置、毎回の調整料、治療後の歯並びを保つ装置(保定装置)、治療終了までの見積額 |
| ローンを扱う会社 | 残額、手数料、医院との契約を終えた場合の支払い、必要な手続き |
ローンを扱う会社(信販会社・貸金会社)の名前が契約書にある場合は、医院だけでなく、その会社との手続きも確認します。医院との精算後に支払いがどうなるかは契約書を読み、分からなければ契約先の会社へ直接問い合わせてください。
現在の医院から返金があっても、転院先で再検査や新しい装置が必要になれば、全体の負担は増えることがあります。両院の精算書と見積書を並べ、転院後に治療終了までいくら必要かを確認しましょう。
転院先はどう探す?
- 現在の医院に紹介できる矯正歯科があるか聞く
- 転居先で矯正治療の引き継ぎを受けている医院を探す
- 予約前に装置名、治療開始時期、抜歯の有無、現在の段階を伝える
- 資料を見たうえで受け入れ可能か確認する
- 治療計画・期間・費用を書面で受け取る
同じワイヤー矯正、同じマウスピースのブランドでも、医院ごとに治療方針や契約が異なります。「同じ装置だからそのまま続けられる」とは限りません。
マウスピース矯正では手続きが別になることがある
マウスピース型装置は、メーカー、治療プラン、医院との契約によってデータや未使用装置の扱いが変わります。追加のマウスピース(追加アライナー)や、歯につける小さな突起(アタッチメント)の変更を自己判断せず、現在の医院と転院候補へ確認してください。
治療方針に不満がある場合の進め方
説明への不満や結果への不安は、そのまま担当医へ伝えて構いません。あわせて確認したい事実をメモすると、現在の説明と転院先の意見を同じ条件で比べやすくなります。
- 治療前に説明された目標と現在の状態
- 予定期間と実際の経過
- 追加処置・費用が必要になった理由
- 今後の修正方法、期間、費用
- 中止・転院時の精算方法
まず担当医へ説明を求め、その記録と検査資料を持ってセカンドオピニオンを受けると、転院が必要かを比較できます。
強い顔の腫れや発熱、痛みの急な悪化がある場合は、当日中に現在の医院または受診可能な歯科・医療機関へ連絡してください。急な息苦しさ、唾液も飲み込めない状態、意識がもうろうとする状態、止まらない大量出血がある場合は119番へ連絡します。
よくある質問
治療費は全額返金されますか?
全額返金とは限りません。契約内容、治療の進み具合、実施済みの処置、支払い状況を基に計算根拠を書面で確認します。契約上の問題を医院やローン会社と解決できない場合は、消費者ホットライン188で相談先を確認できます。
転院先で最初からやり直しになりますか?
必ずではありません。現在の装置を使える場合もあれば、診断や方針の違いから新しい装置へ変更する場合もあります。受け入れ診断後に、引き継げる部分と作り直す部分を確認してください。
参考文献
確認日:2026年8月14日
参考
転医についてのご相談日本臨床矯正歯科医会
参考
矯正歯科患者の矯正歯科医変更に関する規程日本臨床矯正歯科医会
参考
セカンドオピニオンとは?日本臨床矯正歯科医会
参考
消費者ホットライン消費者庁
参考
救急車を上手に使いましょう総務省消防庁

