腎移植後に矯正を始めたいときは、まず移植を担当する医療機関に、歯科での検査や治療を考えていることを伝えてください。移植から何年たったかだけで開始日を決めず、今の腎臓の状態と治療内容を歯科へ共有することが大切です。ここでは腎移植後の相談の準備を説明します。
免疫を抑える薬は、移植した腎臓を守るための治療
体には、外から入ったものを排除しようとする働きがあります。移植した腎臓も攻撃の対象になることがあり、これを「拒絶反応」といいます。免疫の働きを抑える薬は、拒絶反応を防ぐために使います。
一方で、免疫を抑える治療中は感染への注意も必要です。口の中が気になるからといって、薬を自分で減らしたり中止したりすると、移植した腎臓を守る治療に影響します。矯正に備えるための薬の変更も、移植担当の指示に従ってください。
参考
Medicines after your renal transplantLeeds Teaching Hospitals NHS Trust
開始時期を考えるために、二つの診療先をつなぐ
移植後の経過は一人ひとり違います。最近、拒絶反応への治療を受けたか、感染症にかかっていないか、薬が変わったかも、歯科に伝えたい情報です。初診で説明しきれない場合は、病状や薬を歯科へ伝える紹介状(診療情報提供書)が必要かを矯正歯科へ尋ねましょう。
腎臓の状態・最近の治療・現在の薬
抜歯や手術の予定・処方を考えている薬
歯科側からは、歯を動かす治療だけなのか、抜歯や歯ぐきの手術も予定しているのかを伝えてもらいます。「矯正をしてよいですか」という質問だけより、予定している処置が具体的なほうが、必要な配慮を相談できます。
口の中に治りにくい傷があるときは、装置が当たったせいと決めつけないでください。次回の定期診察を待たず、移植担当と歯科へ、いつからどこにあるかを伝え、受診先と時期を相談しましょう。腎移植後の患者向け資料は、治らない口の傷を医療機関で調べる必要があると説明しています。
歯科で新しい薬が出るときも、飲み合わせを確かめる
抜歯などの処置に伴って新しい薬が必要になったら、歯科へ現在の薬の名前と量を示してください。移植後の薬には、ほかの薬との組み合わせに注意が必要なものがあります。市販の薬やサプリメントも含めて伝えることが役立ちます。
処方薬だけでなく、市販薬やサプリメントも、新しく使い始める前に移植担当へ飲み合わせを確認してください。歯科で新しい薬が必要になった場合も、移植後であることを再度伝え、移植担当と確認します。抗菌薬が必要かどうかは、病名だけで決めず、処置と体調を踏まえて医療機関が判断します。
次の相談では、移植担当の連絡先と最新の薬の一覧を持参し、「歯科処置について情報を共有できるか」を尋ねてください。移植後に必要な注意をそろえてから、装置の選択や通院計画へ進みます。
参考
Your kidney transplant: Post transplant care(2025年6月)Royal Berkshire NHS Foundation Trust
資料確認日:2026年10月9日。移植後の薬と歯科受診に関する資料を基にした相談の案内で、矯正の成功率や開始までの一律の期間を示すものではありません。

