左右のうち上の犬歯だけが生えてこないときは、単に生えるのが遅い場合と、歯が本来の道から外れている場合があります。歯ぐきや骨の中にとどまる歯を埋伏歯といいます。
上顎の犬歯は、位置によって隣の前歯の根へ近づくことがあります。口の中だけで向きを決めつけず、画像で位置関係を調べてから治療を選びます。
左右の生え方が違うときに位置を確かめる
診察では、乳犬歯が残っているか、犬歯のふくらみを歯ぐきの上から触れられるか、隣の歯の位置や状態に変化がないかを確認します。隣の前歯の根への影響は、症状だけでは除外できません。必要な画像で根と犬歯の位置関係を調べます。
英国王立外科医師会の指針は、10〜11歳ごろに犬歯のふくらみを確認できない場合、左右で生え方が違う場合などを詳しい評価のきっかけに挙げています。これは年齢だけで処置を決める基準ではありません。生え替わりには個人差があるため、歯科で画像と一緒に判断します。
隣の前歯の根まで見る
まず一般的なX線画像で、犬歯の向き、根の成長、並べる場所を調べます。犬歯と前歯の根の位置が通常画像では分かりにくく、結果が治療を変える場合には、立体的な画像を検討します。
CBCTは、歯と顎を立体的に確認する歯科用CTです。被ばくを伴うため、埋伏犬歯なら全員が受ける検査ではありません。追加画像で何を確かめ、その結果で治療案がどう変わるかを聞いてください。
乳犬歯を抜く案は、選ばれた条件で考える
成長中で犬歯のずれが大きすぎず、並ぶ場所を保てる場合は、残っている乳犬歯を抜いて永久犬歯の進路が改善するかを見ることがあります。しかし、乳犬歯を抜けば必ず自然に生えるわけではありません。
経過を見るなら、次に画像を比べる時期と、改善がなければ別の治療へ切り替える条件を決めます。患者自身で乳歯を揺らしたり抜いたりせず、診断後の計画として行います。
開窓・牽引以外の選択肢もある
開窓は、埋まった歯の表面が見えるように歯ぐきなどを開く処置です。そこへ装置を付け、歯列まで少しずつ引く処置を牽引といいます。
口蓋側へずれた上顎犬歯については、位置が歯列から遠い、隣の歯の根への影響がある、本人が長い矯正治療を希望しないなど、条件によって、犬歯を抜く、移植する、処置せず診察を続ける案も指針に示されています。ほかの位置の埋伏犬歯を含め、牽引できるかどうかを年齢だけで断定しません。
説明を受けるときの確認項目
- 犬歯は前歯の根にどの程度近づいていますか。
- 犬歯を並べる場所は足りていますか。先に場所を作りますか。
- 乳犬歯を抜く場合、いつ、何を見て次の処置を判断しますか。
- 開窓・牽引を選ばない案には何がありますか。
一般的な埋伏歯の検査と選択肢は、次の記事で全体像を確認できます。
参考情報
確認日:2026年9月1日。上顎の埋伏犬歯を含む発育中の歯列の診察は米国小児歯科学会の2025年版文書を参照しました。口蓋側へずれた上顎犬歯の乳犬歯抜去、開窓・牽引などは、2022年11月発行、2023年1月25日改訂の英国王立外科医師会指針で確認しました。この指針はすべての位置の埋伏犬歯へ同じ手順を求めるものではありません。CBCTと通常画像の比較は、平均年齢17.6歳の877人を含む2024年の研究まとめを参照し、CBCTを全員に勧める根拠にはしていません。
参考
Management of the Developing Dentition and Occlusion in Pediatric Dentistry(2025年)米国小児歯科学会
参考
Management of the Palatally Ectopic Maxillary Canine(2022年発行・2023年改訂)英国王立外科医師会 歯科部門
参考
CBCT vs panoramic radiography in assessment of impacted upper canine and root resorption(2024年)PubMed


