「歯の神経を残す治療」は、歯の中で生きている組織を保つことを目指します。この組織は神経だけでなく血管も含み、歯髄(しずい)と呼びます。深い虫歯で歯髄に近づいたり一部が露出したりしても、状態によっては全部を取り除かずに治療できる可能性があります。ただし、診察前にこの治療を選べるかは決められません。
どこまで残すかは、歯髄の状態で変わる
日本歯科保存学会と日本歯内療法学会が作成した2024年発行の「歯髄保護の診療ガイドライン」(第1版)は、永久歯の生きた歯髄に近い、または歯髄まで達する深い虫歯を対象にしています。虫歯を取り除きながら歯髄を保護する方法のほか、歯の上部の歯髄を一部または全部取り除き、根の中の歯髄を残す方法(断髄)も扱います。どの方法がよいかは、痛みの経過、診察、画像、処置中に確認できる状態を合わせて判断します。この記事は永久歯の深い虫歯を扱います。乳歯や、すでに歯髄を除いた歯では治療方針が異なります。
| 考える場面 | 主な目的 | 確認が必要なこと |
|---|---|---|
| 歯髄を保護する | 生きた歯髄をできるだけ保つ | 炎症の状態、露出の有無、詰め物などで歯を補えるか |
| 歯髄の一部を除く | 残した部分を生きた状態で保つ | 残る部分の状態と経過観察 |
| 根管治療を行う | 炎症・感染を起こした内部を清掃してふさぐ | 根の状態と治療後に歯をどう補うか |
参考
歯髄保護の診療ガイドライン(2024年、第1版)Minds/日本歯科保存学会・日本歯内療法学会
参考
AAE Position Statement on Vital Pulp Therapy(2021)American Association of Endodontists
「残せる」と言われたときに聞くこと
「歯髄のどの部分を残す予定か」「治療中の状態で方法が変わる可能性はあるか」「治療後は何を、いつ確認するか」を担当医に聞いてください。治療後に新たな強い痛みや腫れが出た場合は、その日のうちに治療した歯科医院へ連絡し、受診時期を聞いてください。軽い違和感が続く場合も、予定した経過確認で何を調べるか確かめましょう。歯髄を残す方針は、将来の根管治療が不要になる保証ではありません。
参考
How to find an emergency or urgent NHS dentist appointmentNHS
矯正を計画中なら、虫歯治療の完了と歯の状態を矯正担当医へ共有してください。
資料確認日:2026年10月22日。


