歯列矯正中に虫歯になることはある?または虫歯があるのに矯正治療は受けられるのか?
こんにちは!虫歯と矯正治療についてのギモンにとことん寄り添うべく、最新のガイドラインや臨床データを整理しました。この記事では次の5点をわかりやすく説明します。
- 矯正前に虫歯を治すべき理由と治療の流れ
- 虫歯があるまま矯正を始めた場合のリスク
- 装置別に異なる虫歯リスクとケアのコツ
- 治療中の痛み・期間・費用のリアル
- よくある質問への具体的な回答
矯正前に虫歯チェックが必須になる3大理由
矯正装置を付けると歯磨きの難易度が跳ね上がり、う蝕(虫歯)や歯肉炎のリスクが高まると報告されています。虫歯を抱えたまま装置を付けると次の3つの問題が起こりやすくなります。
1 治療計画がズレる
虫歯が進行すると途中で予期せぬ根管治療が必要になり、ワイヤーを外す・再装着するなどスケジュール全体が延びることがあります。
2 歯の強度が下がる
神経を抜いた歯は水分量が減り、咬合力に弱くなるため、動かす際に破折リスクが高まります。
3 保険外費用が膨らむ
矯正は自由診療なので追加で虫歯治療費が発生すると、トータルコストが想定より大きく跳ね上がります。
厚生労働省の歯科疾患実態調査では20代の約半数が虫歯経験ありと報告されています。虫歯ゼロでスタートできる患者さんは実は少数派なんです!
虫歯を治してから矯正を始めるまでのリアルタイムライン
「完治してから装置を付ける」と言われてもイメージが湧かない方のために、実際のステップをまとめました。
装置別虫歯リスク比較表
装置の種類で虫歯リスクはどのくらい変わる?下表でサクッと比較できます。
装置タイプ | 虫歯リスク※ | 清掃難易度 | 推奨ケア |
---|---|---|---|
メタルブラケット | 高 | ★★★★☆ | ワンタフトブラシ・デンタルフロス |
セラミックブラケット | 中 | ★★★★☆ | フッ化物洗口(週1)・歯間ブラシ |
リンガル(裏側) | 中〜高 | ★★★★★ | 超音波ブラシの併用 |
クリアアライナー | 低〜中 | ★★☆☆☆ | 食後すぐの洗浄・タンパク除去剤 |
※リスク評価は国内外の臨床報告をもとに当サイトが総合判断。
虫歯治療と矯正を同時進行する場合の注意点
「忙しいから一気に終わらせたい!」という声もありますが、以下のデメリットを念頭に置いてください。
治療回数が倍増し「仕事・学校との両立が大変」「費用の精算が複雑」になるケースが多いです。また、装置を一時撤去するたび治療期間が延びる可能性が高いので要注意。
- 麻酔後の違和感とブラケット調整の痛みが重なるとケアが大変
- 同一歯科で行う場合でもレセプト上の取り扱いが別になる
- 根管治療済み歯の動揺リスク
神経を抜いた歯は本当に動く?
「根管治療した歯は動かない」と誤解されがちですが、歯根膜が残っていれば移動自体は可能です。ただし、歯冠が脆くなるため以下の管理が欠かせません。
強度を保つコツ
- メタルポストよりグラスファイバーポストを優先し、歯根破折を軽減
- 最終補綴前に矯正用のテンポラリークラウンを装着
- 咬合力が強い場合は咬合調整で負担分散
銀座で働く現役歯科衛生士の木村さん
銀歯・レジン・セラミック別!詰め物がある歯の矯正ポイント
詰め物・被せ物がある歯を動かす際のチェックポイントを素材別にまとめます。
金属(銀歯)
強度は高いものの、二次カリエス(境目の虫歯)が起きやすいので定期レントゲン必須。
コンポジットレジン
経年劣化でマイクロギャップが生じやすく、歯面が欠けることも。動的治療後に再修復する方針がおすすめ。
セラミック・ジルコニア
審美性・密着性に優れますが、硬すぎるため対合歯に負担がかかることがあります。必要に応じて咬合面調整を行います。
矯正中の虫歯予防5か条
装置の種類にかかわらず、次の5つを徹底すれば虫歯リスクをグッと抑制できます!
- フッ化物配合1450ppm以上の歯磨き剤を1日2回使用
- 就寝前にフッ化物洗口0.1%を30秒
- ワンタフトブラシ×歯間ブラシでブラケット周囲を集中的に清掃
- 糖分摂取は食事の回数で管理。ダラダラ食べを減らす
- 3か月ごとのプロフェッショナルクリーニング+写真管理
食生活のチェックリスト
特にスポーツ飲料・エナジードリンクは酸性度が高く、pH5.5以下で歯質が脱灰しやすいので要注意!
「ノンシュガー」と表示されていても酸性度が高い飲料はエナメル質を溶かすおそれがあるので、装置装着中は水orお茶がベスト!
矯正治療の一般的リスクと厚労省通知への対応
医療法に基づく広告規制では、治療の有効性を断定する表現が禁止されています。そこで、本記事ではガイドラインを参考にリスクを以下のように整理しました。
- 歯が動く過程で痛みや違和感が出る場合がある
- 装置が口腔粘膜を擦り口内炎が起こることがある
- 清掃性が下がり、虫歯・歯肉炎・歯周病のリスクが高まる
- 保定装置を怠ると後戻りする可能性がある
- 一部装置は完成物薬機法対象外であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外
ここが知りたい!矯正と虫歯のQ&A
神経を抜いた歯でも矯正できますか?
可能です。ただし歯冠が脆くなるため、ファイバーポストや咬合調整など保護処置を行いながら進めます。
矯正中に虫歯が見つかったら装置は外しますか?
小さな虫歯なら装置を外さずに治療可能ですが、広範囲の場合は一時的にワイヤーを外すことがあります。
クリアアライナーはワイヤーより虫歯になりにくい?
装置を外して歯磨きできる分リスクは低めですが、装着時間を守らないとプラーク停滞で逆効果になる場合があります。
矯正前の虫歯治療は保険適用されますか?
虫歯治療は一般歯科の保険診療で対応できますが、審美目的でセラミックを選ぶと自費になります。
定期検診はどのくらいのペース?
装置の種類やリスクに応じて4〜6週ごとが一般的です。クリアアライナーの場合はオンライン診療を併用する医院もあります。
まとめ:虫歯ゼロでスタートして理想の笑顔へ!
矯正治療は長いマラソン。スタート地点で虫歯を治しきることが、痛み・費用・期間すべてを最適化する近道です。「痛み→相談→早期対応」のサイクルを回しながら、装置別のケアを続ければ、リスクは最小限にコントロールできます!この記事があなたの治療計画づくりのヒントになればうれしいです。
参考リンク
公益社団法人 日本矯正歯科学会 /
厚生労働省 歯科疾患実態調査(令和4年) /
Systematic Review on Clear Aligners (2024) /
Clear Aligner Treatment: Advantages & Risks
↑英語のページです。