オーバージェットとは、奥歯を噛み合わせたときの上の前歯と下の前歯の前後方向の距離です。上の前歯が下の前歯より前へ出ているほど値は大きくなります。上下の前歯が縦に重なる量を示す「オーバーバイト」とは別の測定です。
測り方で混同しやすい三つの点
| 確認点 | 意味 |
|---|---|
| 測る方向 | 上下の前歯の前後方向。縦の重なりとは別 |
| かみ合わせる位置 | 普段のかみ合わせで測り、顎をわざと前へ出さない |
| 数値以外の所見 | 前歯の傾き、唇の閉じやすさ、顎の位置も診る |
測るのは、奥歯をかみ合わせた状態での、下の前歯の前面から上の前歯の先までの水平距離です。自宅で無理に定規を口へ入れず、診察で測った場所と数値を説明してもらってください。
正常値は数字だけで自己判定しない
英国矯正歯科学会の患者向け測定資料には、平均的な例として2mmが示されています。同じ資料は、正常かどうかを担当医が個別に説明するとしています。2mmから外れたら必ず治療が必要、という診断基準ではありません。
一つの数値だけで治療の要否や方法は決まりません。測る位置や前歯の傾き、唇を閉じられるか、下顎の位置、成長段階、前歯の外傷歴を合わせて診断します。自宅の定規で測った値は、歯科での測定と同じ条件にならないことがあります。
オーバージェットが大きくても、上の前歯の傾きが主な場合と、下顎が後ろにあるなど骨格の関係が主な場合では治療計画が異なります。
数値が大きいときに確認する理由
子どもを対象にした研究では、大きなオーバージェットと上の前歯の外傷リスクとの関連が報告されています。ただし、年齢、運動、唇による前歯の覆われ方なども関係します。数値だけを理由に全員が早期治療を受けるべきだとはいえません。
前歯をぶつけて欠けた、位置がずれた、強く揺れる場合は、矯正の予約日を待たず当日中に歯科へ連絡してください。
治療方法は原因と成長段階で選ぶ
- 前歯の傾きを調整する:ワイヤーやマウスピース型装置などを検討
- 成長期の顎の関係を確認する:成長を利用する装置や経過観察を検討
- 成人の大きな骨格差:歯だけで補う範囲と外科矯正を分けて検討
マウスピースだけ、抜歯だけで結果が決まるわけではありません。レントゲンや口腔内写真、かみ合わせの検査後に、何をどこまで動かすのか確認します。
相談時に聞くこと
「測定値はいくつか」だけでなく、「歯の傾きと顎の位置のどちらが影響しているか」「治療しない場合に何を観察するか」「前歯の外傷を防ぐために今できること」を聞きましょう。
用語と外傷研究の確認先
参考
Orthodontic Glossary: Overjet|AAOAmerican Association of Orthodontists(2026年9月10日確認)
参考
Should we recommend early overjet reduction to prevent dental trauma?(Br Dent J、2022、doi:10.1038/s41415-022-4916-0)PubMed(2026年9月10日確認)
参考情報の確認日:2026年9月10日。
参考
What is an Orthodontic Emergency and How Do You Handle Them?American Association of Orthodontists


