歯ぐきの組織が増え、厚く盛り上がった状態を「歯肉増殖」といいます。一部の薬が関係する場合もありますが、歯ぐきの見た目だけで原因の薬を決めることはできません。薬を自分で減らしたり中止したりせず、服薬内容を歯科へ伝えてください。
赤く腫れる歯肉炎と、組織が増える状態を区別する
歯に付く細菌のかたまりが歯垢(しこう)です。歯垢による炎症で歯ぐきが赤く腫れる状態と、薬に関連して組織が厚くなる状態は、同じではありません。ただし、両方が重なることもあります。
歯ぐきが歯を覆うようになると、磨きにくくなったり、かむことや見た目に影響したりします。「磨いていないから」とだけ考えず、いつから変わったか、薬の開始・変更と前後関係があるかを歯科で確かめます。
参考
Drug Induced Gingival Overgrowth:定義・症状・診断European Association of Oral Medicine
関係するのは、すべての血圧の薬や抗てんかん薬ではない
スコットランドの歯科診療指針SDCEPは、一部の血圧を下げる薬、抗てんかん薬のフェニトイン、免疫の働きを抑えるシクロスポリンなどを挙げています。同じ目的の薬でも一律に起こるわけではなく、使っている人全員に生じるわけでもありません。
受診にはお薬手帳を持参し、薬の名前、飲み始めた時期、最近の変更を伝えます。矯正装置を付けた時期も記録しておくと、服薬、清掃しにくさ、歯ぐきの変化を分けて検討しやすくなります。
清掃の改善と、処方医への相談を組み合わせる
SDCEPは、本人に合った歯みがき指導と歯石の除去に加え、固定式の矯正装置の周りを清掃できるか確認するよう勧めています。矯正中は、歯ブラシが届かない場所を診察で示し、自分の装置に合う道具と当て方を教わりましょう。
| 対応する人 | 確認・対応すること |
|---|---|
| 歯科医師・歯科衛生士 | 歯ぐきの状態、歯垢・歯石、装置の周りの磨き方 |
| 薬を処方している医師 | 元の病気の治療を保ちながら、薬を変更できるか |
| 歯周病などを専門とする歯科 | 清掃や薬の検討後も支障がある場合の追加治療 |
磨き方を改善するだけでは、厚くなった組織が十分に戻らない場合もあります。清掃や食事の妨げが続くときは、歯科から処方医へ連絡して薬の変更を検討したり、専門の歯科へ紹介したりします。必要な場合には歯ぐきの手術も選択肢になりますが、再び増える可能性も含めた説明が必要です。
薬の副作用だと思い込まず、診断を受ける
原因が説明できない増殖や、清掃を改善しても歯ぐきの状態がよくならない場合には、別の病気も含めた診察が必要です。SDCEPは、そのような場合に口の病気や歯周病の専門家への迅速な紹介を勧めています。
歯ぐきが歯を覆って磨けない、かみにくい場合は、次の矯正調整日まで待たず歯科へ連絡し、受診日を相談してください。初診で「薬の確認を誰が行うか」「いつ歯ぐきの変化を再評価するか」を決めておくと、処方医との連絡が途切れにくくなります。
資料確認日:2026年9月23日。薬の変更・中止は、処方した医師が元の病気の状態も踏まえて判断します。
