矯正相談で撮る口腔内写真、顔貌写真、歯型は、同じ情報を重ねて集めるものではありません。写真は色や見た目、歯型は歯列の立体形状を記録し、診察や必要なレントゲン画像と組み合わせて治療計画を考えます。
これらは見栄えのよい「ビフォー写真」を作るためだけではなく、治療開始時の状態、説明した内容、途中と終了時の変化を比較する診療記録です。
三つの記録で分かること
| 記録 | 主に確認すること | 単独では分からないこと |
|---|---|---|
| 口腔内写真 | 歯の並び、かみ合わせ、歯ぐき、装置の状態 | 骨の中の歯根や埋伏歯の位置 |
| 顔貌写真 | 正面・横顔・笑顔での口元、撮影時の左右差 | 見た目の原因が歯・顎骨・軟組織のどれか |
| 歯型・デジタル模型 | 歯列の幅、すき間、重なり、上下の歯の接触 | 歯の色、歯根、顎骨、顎関節の内部 |
顔貌(顔立ちや口元の外見)と、歯列の模型を一緒に見ることで、歯だけを並べた結果が口元とどう関係するかを検討できます。ただし、写真から治療後の顔を正確に予測できるわけではありません。
同じ条件で撮ると変化を比較しやすい
治療前後を比べるには、表情、頭の向き、カメラとの距離、かみ合わせ方などを近い条件へそろえる必要があります。条件が違う写真を並べると、実際の変化と撮影差を混同することがあります。
途中で写真や歯型を取り直す場合は、「どの変化を確認するためか」「治療計画の見直しに使うか」を聞きましょう。再記録があるだけで、治療が失敗したとは判断できません。
写真と歯型だけで診断は完結しない
歯根や顎骨の状態は、写真や歯型には写りません。必要性を診察で判断し、パノラマX線、セファロ、歯科用CBCTなど目的の異なる画像を組み合わせます。放射線を使う検査は、全員へ同じ組み合わせで行うものではありません。
説明時には、写真で分かったこと、模型で分かったこと、X線画像が必要な理由を分けて聞くと、検査結果と治療案のつながりを理解しやすくなります。
診療以外へ使う同意は分けて確認する
診断や経過確認のための撮影と、院内教育、学会発表、ウェブサイトやSNSへの掲載では利用目的が異なります。顔を隠すかどうかだけでなく、掲載先、期間、撤回方法を確認し、理解できない用途にはその場で同意する必要はありません。
他院でセカンドオピニオンや転院を考える場合は、写真、模型データ、X線画像、診断書のどこまで受け取れるか、形式と費用を元の医院へ確認してください。
参考
Orthodontic Records|British Orthodontic Society(2026-08-13確認)
参考
Clinical Photography in an Orthodontic Practice Environment|Orthodontic Update(2026-08-13確認)
参考
Consent in Orthodontics|British Orthodontic Society(2026-08-13確認)
参考
Everything you need to know before having your teeth straightened|BOS(2026-08-13確認)


