舌や唇のピアスがあっても、矯正の可否は位置や口の状態を診て判断します。検査画像を見えにくくしたり、矯正装置へ引っ掛かったりするため、開始前に外すよう勧められることがあります。
口の中や口の周りに付ける装飾品を、口腔ピアスといいます。矯正相談では、ピアスを隠さず、位置、素材、いつ開けたか、自分で安全に外せるかを伝えてください。
最初の相談で伝える5つのこと
- 位置:舌、上唇、下唇、頬のどこを通っているか
- 素材と形:分かれば商品情報や写真を見せる
- 開けた時期:最近開けた場合は、その日付と経過を伝える
- 今の症状:腫れ、出血、膿、痛み、歯への当たりがあるか
- 取り外し:自分で外せるか、外した後に戻せるか
矯正歯科だけでなく、かかりつけ歯科で歯や歯ぐきの傷を指摘されたことがあれば、その内容も共有します。ピアスを開けた店だけでは、歯の根や歯ぐきの診断はできません。
検査の前に外すよう言われる理由
金属のピアスは、X線画像へ白い影を作ることがあります。その影が歯の根や周りの骨へ重なると、診断に必要な部分が見えにくくなります。
撮影する医療機関の指示に従い、外す時期と保管方法を前もって聞いてください。自分で外せない場合は、予約前に電話で伝えます。当日に無理に回したり、工具で切ったりしないでください。
一時的に使う部品でも、矯正装置へ当たる形や、傷が治る途中の交換には注意が必要です。素材を替えれば必ず撮影や治療ができるとは限りません。取り外し方や部品の情報は、ピアスを扱う施術者へ聞けます。傷の状態や撮影・矯正の可否は、歯科と撮影する医療機関が判断します。
ワイヤーやリテーナーとぶつかることがある
固定式のワイヤー矯正では、ピアスがブラケットやワイヤーへ絡むことがあります。ブラケットは歯に付ける小さな部品です。絡んだピアスを強く引くと、装置が外れたり、舌や唇を傷つけたりします。
治療後に使うリテーナーは、動かした歯の位置を保つ装置です。舌や唇のピアスが当たると、取り外し式リテーナーが入りにくいことや、歯の裏側へ付けた固定式リテーナーを傷めることがあります。
ピアスを付けたまま進められるかは、位置と装置の組み合わせで変わります。「ワイヤー矯正なら外すのか」「マウスピース型なら問題ないのか」と装置名だけで決めず、口を動かしたときの接触まで診てもらいます。
歯と歯ぐきへの当たりも確かめる
ピアスが同じ場所へ繰り返し当たると、歯が欠けたり、すり減ったりすることがあります。歯ぐきが下がり、歯の根に近い部分が見える変化を歯肉退縮といいます。
歯ぐきが下がったように見える、冷たい物がしみる、歯の角が欠けた場合は、次回の矯正日まで待たずに歯科へ連絡します。どのピアスが、どの歯へ当たるかを伝え、受診時期を決めてもらってください。
治療中にピアスや装置が外れたら
ピアスが装置へ絡んだときは、引っ張らず、食事を止めます。呼吸が安定しているなら矯正歯科へ連絡し、外れた場所と出血の有無を伝えてください。口の中の出血が続く場合は、歯科または口腔外科へも症状を伝え、受診時期を確認します。
部品が見当たらなくても、呼吸が安定している状態と、気道へ入って窒息しかけている状態では緊急度が違います。異物が気道へ入った疑いがあっても強く咳ができる間は、咳を続けながら周囲へ知らせてください。
咳が弱くなった・できない、声が出せない、呼吸が苦しい、意識の異常がある場合は119番へ連絡します。装置を付けた医院への電話を先にせず、呼吸の安全を優先してください。
呼吸が安定していても、部品を飲み込んだ可能性があるときは、当日中にかかりつけ歯科または医療機関へ相談します。部品の形と今の症状を伝え、受診先を確認してください。なくなった部品と同じ物の写真があれば、相談時に見せます。自宅での対応は自己判断せず、医療機関の指示を受けます。
矯正を始める前の確認で行き違いを減らす
- 検査時、装置を付ける日、毎回の通院で外す必要があるか
- 外せない場合に、撮影や装置の種類をどう調整するか
- ピアスが当たっている歯や歯ぐきに治療が必要か
- 治療中に新しくピアスを開けることを避けるべきか
- 外れた部品や傷があるとき、どこへ何時までに連絡するか
矯正歯科の方針だけでなく、傷の治り方やピアスの種類も関係します。外す可能性があるなら、契約前に伝え、治療中の扱いを診療記録へ残してもらいましょう。
参考情報
確認日:2026年8月16日
参考
Oral Piercing and Orthodontics: Patient Information LeafletBritish Orthodontic Society
参考
つめ物・かぶせ物が取れた・飲み込んだ日本歯科医師会
参考
気道異物の除去(反応がある場合)総務省消防庁
参考
市民用 救急蘇生法の指針 2015日本救急医療財団心肺蘇生法委員会・厚生労働省
参考
こんな時は迷わず119へ厚生労働省


