矯正の「骨切り」は、歯を支える骨を少し整える処置全般を指すのではなく、顎変形症などで上顎や下顎の骨を切り、位置を移動する顎矯正手術を指して検索されることが多い言葉です。歯を動かす通常の矯正だけでは、骨格による大きなかみ合わせのずれを改善しにくい場合に、手術を組み合わせた外科矯正が検討されます。
「骨切りが必要」と言われたときに確認する診断資料
日本口腔外科学会は、顎変形症を、上顎または下顎の形・大きさ・位置の異常によって顔の変形とかみ合わせの異常が生じる状態と説明しています。代表例は、骨格性の下顎前突(受け口)、上顎前突、開咬(奥歯でかんでも前歯がかみ合わない状態)、顔面非対称です。
見た目だけで手術の必要性は決まりません。規格写真、歯型や口腔内スキャン、セファロ(頭部X線規格写真。顎や歯の位置を一定条件で計測する画像)などを使い、歯の傾きで補える範囲か、骨格を移動する必要があるかを診断します。
外科矯正では、手術前に歯の位置を整える矯正(術前矯正)や、手術後にかみ合わせを仕上げる矯正(術後矯正)を組み合わせます。その後は、動かした歯の位置を保つ保定へ進みます。治療の順番は診断で変わるため、自分の計画で手術前後の矯正をどう行うかを担当医に確認してください。
上顎・下顎のどこを動かす手術か
上顎の位置を変える手術、下顎を前後・左右へ動かす手術、上下顎を同時に動かす手術があります。術式は、ずれの方向と量、気道、神経や血管の位置、かみ合わせを踏まえて口腔外科が選びます。「顎を切る」という一語で比較せず、自分はどの骨をどの方向へ動かす計画かを確認してください。
同じ下顎の手術でも、骨を切る位置や固定方法が異なります。手術名だけで安全性や回復を比較せず、執刀施設の説明書で固有のリスクと術後管理を確認します。
回復中の生活を、入院前に具体的に確認する
仕事や学校への復帰は、退院した日だけでは決められません。手術法と仕事内容によって必要な準備が変わるため、執刀施設から生活上の条件を書面で受け取りましょう。
| 生活場面 | 確認する条件 |
|---|---|
| 食事 | 食べられる硬さ、かんでよい時期、栄養の取り方 |
| 会話・通学・仕事 | 話す量、体を動かす負担、通院予定に合う復帰時期 |
| 口の清掃 | 口を開けられる範囲で使う道具と磨き方 |
| 体調の変化 | 腫れ・痛みの想定経過と、夜間を含む連絡先 |
出血、感染、腫れ、唇や顎の感覚の鈍さ、かみ合わせのずれ、後戻りなどについても説明を受けます。日本口腔外科学会の2008年承認のガイドラインにも知覚の変化が挙げられていますが、古い文書だけで現在の発生頻度を決めることはできません。
急な息苦しさや意識の異常は119番へ連絡してください。出血が気になる場合は、その時点で執刀施設の指定窓口へ連絡します。発熱、痛みの増加、傷からの膿についても、退院前に連絡基準と連絡先を聞いておきましょう。施設から個別に渡された指示がある場合は、その内容を優先してください。
診察で比較する項目
手術名だけで医院を比較せず、矯正歯科と口腔外科の連携、術前・術後矯正の目的、入院中の管理、輸血の可能性、知覚変化、食事、仕事・学校への復帰、緊急時の連絡先を確認します。保険適用を希望する場合は、顎変形症の診断と届出医療機関などの条件も事前に確認してください。
参考情報
参考
顎変形症などの骨格性の不正咬合日本口腔外科学会
参考
顎変形症診療ガイドライン日本口腔外科学会
参考
矯正歯科治療が保険診療の適用となる場合とは日本矯正歯科学会
参考
こんな時は迷わず119へ厚生労働省
参考
Orthognathic SurgeryDorset County Hospital(英国施設、2021年v2。見直し予定2025年3月)
参考情報の確認日:2026年9月10日。


