外科矯正とは?噛み合わせを改善するための治療方法

外科矯正の基礎知識と治療の流れ

歯並びの矯正は歯列矯正だけでなく、骨格にまで問題が及んでいる場合、外科矯正が必要になります。普通の歯列矯正だけでは改善できない場合、外科手術を伴うことになりますが、どういったケースで外科矯正が必要なのか、どのように進められるのか気になる方も多いはず!ここでは、外科矯正の流れやメリット・デメリットについてわかりやすく説明します。

外科治療のイメージ

外科矯正が必要になるケースとは?

基本的には外科矯正無しで歯並び・噛み合わせが治るのであれば良いに越したことはないです。

まず、外科矯正が必要になるケースについて説明します。通常の歯列矯正は、歯の移動だけで解決できるのですが、顎の骨格に問題がある場合はそれだけでは足りません。以下のようなケースでは、外科矯正が必要になることが多いです。

  • 顎変形症(受け口や出っ歯などの骨格異常)
  • 重度の噛み合わせ異常(上下の歯が合わない、開咬など)
  • 顔の非対称性(左右で顎の発育が違う場合)

顎変形症とは?

顎変形症は、上下の顎の位置にズレがあることで噛み合わせが悪くなる状態です。受け口や出っ歯が典型的な症例で、これらは歯だけでなく顎の骨の位置を手術で調整する必要があります。例えば、下顎が過度に前に出ている場合、上顎とのバランスを取るために下顎の骨を切って後ろに下げる手術を行います。

外科矯正の流れ

外科矯正の治療は、通常の矯正治療と手術を組み合わせて行います。以下はその一般的な流れです。

STEP.1
矯正治療の計画
まずは矯正歯科で詳細な診断を行い、どのような治療が必要かを決定します。この段階で3D画像やCTスキャンを使用し、顎の状態を正確に把握します。
STEP.2
術前の矯正治療
顎の位置を手術後に調整しやすくするために、術前に歯を矯正装置で動かします。このプロセスには半年から1年かかることが多いです。
STEP.3
外科手術
矯正が進んだ後、口腔外科で顎の骨を手術で切り、位置を修正します。通常、全身麻酔下で行われ、手術自体は数時間で完了します。
STEP.4
術後のフォローアップ
手術後も引き続き矯正治療を行い、最終的な噛み合わせを整えます。手術後の矯正は通常1年ほど続けられます。

外科矯正のメリット・デメリット

外科矯正には、普通の矯正治療だけでは得られない大きなメリットがある一方で、いくつかのデメリットやリスクも伴います。まずは、メリットから見ていきましょう。

外科治療の説明

外科矯正のメリット

  • 顎の骨格を根本的に修正できるため、噛み合わせが劇的に改善されます。
  • 顔全体のバランスが整うため、見た目が向上するケースが多いです。
  • 発音がしやすくなることがあります。

外科矯正のデメリット・リスク

注意

外科矯正にはいくつかのリスクも伴います。手術自体が大がかりで、術後に腫れや痛みが数週間続くことがあります。また、全身麻酔を使用するため、手術前に健康状態の確認が必要です。

また、以下のようなリスクも考えられます。

  • 歯や顎に痛みや違和感が続くことがあります。
  • 手術後の腫れや内出血が長引くことがあります。
  • 術後、噛み合わせの調整に時間がかかることがあり、矯正期間が長引く場合もあります。
  • 術後の矯正を怠ると、再度噛み合わせが悪くなるリスクがあります。

よくある質問

外科矯正にかかる費用は?

外科矯正は費用面でも通常の矯正治療より高額になることが多いです。手術を伴うため、矯正だけではなく、手術費用や麻酔代もかかります。ですが、顎変形症などが原因で外科手術が必要な場合、保険が適用されることもあります。適用範囲は医師の診断やケースによりますが、保険が効く場合には大幅に費用が抑えられることも!

MEMO

顎変形症などの骨格の異常が認められた場合、外科手術が保険適用の対象になる可能性があります。保険適用を受けるためには、歯科矯正だけでなく医療機関での詳細な診断が必要です。

一方、審美的な理由だけで外科手術を行う場合や、保険適用外の治療を選択する場合は、全額自費負担となり、費用が100万円を超えることもあります。さらに、矯正治療自体も数十万円からスタートするため、外科矯正は全体として高額な治療となることが多いです。

外科矯正をすると費用は高くなりますか?

外科矯正は、一般的な矯正治療に比べて費用が高くなることが多いです。なぜなら、矯正治療に加えて手術費用や麻酔費用も発生するためです。

保険が適用される場合

顎変形症などの骨格の異常が認められ、外科手術が必要と診断された場合、保険が適用されることがあります。この場合、矯正治療の一部や外科手術の費用が大幅に軽減され、自己負担が少なくなります。具体的には、治療費用が数十万円程度に抑えられることが多いです。

MEMO

保険が適用されるかどうかは医師の診断により異なりますので、治療前に必ず確認しましょう。保険適用の条件を満たさない場合、全額自己負担となります。

保険適用外の場合

一方、審美的な理由で外科矯正を行う場合や、保険が適用されない治療方法を選択する場合は、全額自己負担となります。この場合、費用は100万円を超えることが多く、さらに矯正治療自体も数十万円かかります。

特に、高度な技術を要する手術や、最新の矯正装置を使用する場合には、費用がさらに高額になることがあります。総額では200万円を超えるケースもありますので、治療を開始する前にしっかりと費用面の確認をしておくことが大切です。

注意

保険が適用されない場合でも、クリニックによっては分割払いが可能な場合があります。費用に不安がある方は、事前に支払い方法についても確認しておくと良いでしょう。

費用の内訳例

費用項目金額の目安
矯正治療費50〜100万円
外科手術費用30〜70万円
麻酔費用10〜20万円
検査・診断費用5〜10万円

治療費用は病院やクリニックによって異なりますが、上記のような内訳で総額が決まります。特に、外科矯正を行う場合には、手術費用や麻酔費用が追加されるため、費用が高くなる傾向があります。

外科矯正のリスクについて

外科矯正は手術を伴うため、通常の矯正よりもリスクが高くなります。具体的なリスクをいくつか挙げてみましょう。

  • 個人差はありますが、手術後の腫れや痛みがしばらく続くことがあります。
  • 矯正装置が唇や頬に擦れることで、口内炎ができることがあります。
  • 手術後は歯磨きが難しくなり、虫歯や歯肉炎、歯周病のリスクが高くなります。
  • 手術後に噛み合わせが安定するまで時間がかかるため、保定装置(リテーナー)を使わないと歯が後戻りする可能性があります。
  • 一部の矯正装置は薬機法対象外のため、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
注意

手術後のリスクについては、医師としっかり相談しておきましょう。特に、痛みや腫れが長引く場合は医師に相談して、適切なケアを受けることが大切です。

外科矯正後の生活の変化

外科矯正を受けることで、噛み合わせや見た目が劇的に改善されることが期待できます!特に、顎の骨格が変わることで顔のバランスが良くなり、自然な笑顔が戻ってくるという患者さんも多いんですよ。

また、噛み合わせの改善によって食べ物を噛みやすくなり、消化が良くなったり、発音がクリアになったりするメリットも期待できます。術後の回復には多少時間がかかりますが、最終的には多くの方が満足されることが多いです。

外科矯正と他の矯正治療の比較

外科矯正は、通常の矯正治療とは異なり、手術を伴うため治療の流れや効果が大きく異なります。他の矯正治療法と比較してみましょう。

外科矯正とワイヤー矯正の比較
効果
(5.0)
期間
(4.0)
見た目
(3.0)
費用
(2.0)
痛み
(3.0)
総合評価
(5.0)

ワイヤー矯正との違い

ワイヤー矯正は主に歯の位置を動かす治療で、外科手術を伴わないのが特徴です。歯の位置を微調整して、噛み合わせを改善していきます。一方で、外科矯正は顎の骨格に問題がある場合に使用されるため、より根本的な改善が必要なケースに適しています。

MEMO

外科矯正とワイヤー矯正を併用することが多いです。術前術後にワイヤー矯正を行い、最終的な噛み合わせを整えることで、より良い結果が得られます。

マウスピース矯正との違い

インビザラインなどのマウスピース矯正は、見た目が自然で、取り外しができるのが魅力です。しかし、顎の骨格に問題がある場合は、マウスピース矯正だけでは十分に効果を得られないことがあります。外科矯正は、骨格の問題を根本から解決できるため、顎のズレが大きい場合には外科矯正が選ばれることが多いです。


参考
インビザラインについて詳しくはこちらインビザライン公式

外科矯正を受ける際の心構え

外科矯正は大きな決断です!手術を伴う治療なので、不安に感じる方もいらっしゃると思いますが、専門の医師としっかり相談し、メリットとデメリットを理解した上で決断しましょう。

また、術後のケアが非常に重要です。特に歯磨きが難しくなるため、虫歯や歯周病を防ぐために、フロスやデンタルリンスなどを活用して口腔内の清潔を保つ努力が必要です。手術後のケアを怠らず、定期的に通院して医師の指導を受けましょう!

この記事の筆者

外科矯正は確かに手間と時間がかかる治療ですが、その結果としての変化は非常に大きいです!治療を終えた時の笑顔や、自信を持って噛み合わせられる食事は、何にも代えがたい喜びですよね。治療に挑戦するか迷っている方は、ぜひ一度専門医に相談してみてください!

よくある質問

外科矯正は痛みますか?

手術後は腫れや痛みが生じますが、数週間で落ち着きます。痛み止めが処方されるので、痛みが続く場合は医師に相談しましょう!

手術は全身麻酔ですか?

はい、外科矯正の手術は全身麻酔で行われるのが一般的です。手術中の痛みを感じることはありませんので安心してください。

術後どのくらいの期間で回復しますか?

個人差がありますが、腫れや痛みは通常2〜4週間ほどで落ち着きます。ただし、最終的な矯正完了までには1年程度かかることもあります。

外科矯正の治療期間はどのくらいですか?

治療全体では、通常2〜3年かかることが多いです。術前の矯正治療が半年から1年、手術後の矯正治療が1年ほど続きます。

外科矯正の手術費用は保険適用されますか?

顎変形症などの診断を受けた場合、保険が適用されることがあります。ただし、審美目的での治療は適用外になることが多いので、医師と相談して確認しましょう。

手術後、日常生活に戻るまでどのくらいかかりますか?

腫れや痛みは2〜4週間程度で軽減しますが、完全に日常生活に戻るには1ヶ月ほどかかることが一般的です。職場復帰や学校生活も、軽作業であれば2週間程度で可能です。

術後、顔が変わりますか?

はい、顎の骨格が変わるため、顔のバランスが整い、見た目が改善されることがあります。ただし、全ての人が劇的な変化を感じるわけではないので、医師と期待する効果について話し合うことが大切です。

外科矯正と普通の矯正の違いは何ですか?

外科矯正は、顎の骨格に問題がある場合に適用される手術を伴う治療です。普通の矯正は、歯の位置だけを動かして噛み合わせを整えるのに対し、外科矯正は骨格そのものを調整するため、根本的な解決が必要なケースに使用されます。