歯列矯正の費用を祖父母が負担する場合、贈与税はかかる?【支払い方法で差が出ます】

歯列矯正の費用を祖父母が負担する場合、贈与税はかかる?

結論から:医療目的+支払い方法がポイント!

「おじいちゃんおばあちゃんが矯正費用を出してくれることに…税金どうなるの?」——よくあるご相談です。医療目的の矯正で、祖父母が医院に直接支払うなど使い道が明確なら、贈与税の対象外にできる可能性が高いです!一方で、美容目的のみの矯正や、孫・親に現金をまとめて渡すと課税リスクが上がります。根拠は、生活費・教育費は「必要な都度・直接」なら贈与税が非課税という国税庁の取扱いです。

贈与税の基本:年間110万円の基礎控除と「生活費・教育費」の非課税

日本の贈与税は、原則として年間110万円まで非課税(暦年課税の基礎控除)。超えた分に税率がかかります。

MEMO

「生活費・教育費」にあたる支出は、必要な都度・直接その用途に充てるなら非課税という特例があります。生活費には治療費が含まれます。使い切らずに預金したり、一括で多額を前渡しする形は課税対象になりやすい点に注意。

医療目的の矯正かどうかの線引き

医療費控除の基準と同様に、機能改善(咀嚼、発音、噛み合わせなど)を目的とする矯正は「医療費」に該当しやすく、美容目的のみは該当しません。国税庁の歯科の具体例でも、目的からみて矯正が必要と認められる場合は医療費控除の対象と示されています(美容目的のみは対象外)。

注意

「見た目の向上だけ」を目的とした矯正は医療費として扱われず、祖父母からの負担が贈与とみなされる可能性が上がります。

お孫さんが矯正治療の適齢になった時に考えましょう

支払い方法でこんなに違う(実務のコツ)

課税リスクを減らすには「誰が、いつ、どこに、何の目的で支払ったか」を明確に残すのがコツです。

ベストプラクティス

  • 祖父母が医院へ直接振込・クレジット決済(領収書の名義は患者=孫)。「必要な都度」の分割払いも有効。
  • 契約書・見積書・診療計画で「医療目的(機能改善)」が読み取れるように保管。
  • 支払い記録・領収書・通院記録を整理(確定申告の医療費控除にも活用)。

避けたいパターン

  • 祖父母→孫(や親)へ現金一括で前渡し(110万円超や、使い切らず預金は課税リスク)。
  • 美容目的のみの矯正費用をまとめて贈与。
  • 親名義の口座へ入金→親が医院へ支払いで、親への贈与と解釈される余地を残す。

ケース別:課税/非課税の目安

ケースポイント贈与税の扱いの目安
祖父母が医院に都度直接支払い(機能改善目的)治療費=生活費に含まれる。用途明確・必要な都度。非課税になりやすい
祖父母が孫へ現金一括で前渡し(未使用分あり)用途不明部分や預金が残ると課税対象に。課税リスク高い
美容目的のみの成人矯正医療費に該当せず(医療費控除対象外)。課税リスクあり
年間合計110万円以下の贈与(現金受領)暦年課税の基礎控除内。非課税(申告不要)

医療費控除もしっかり活用

確定申告での医療費控除は、目的からみて歯列矯正が必要と認められる場合に対象。美容目的のみは対象外です。機能改善を裏付ける診療計画や領収書を保管し、通院交通費(公共交通機関)なども整理しておくと◎。

MEMO

教育目的の非課税制度(直系尊属からの教育資金一括贈与の非課税)もありますが、適用要件が細かく、原則は教育資金枠。矯正費をここで扱うより、まずは「生活費・教育費の都度直接支払い」ルールの徹底が実務的です。

矯正治療と贈与税の関係

よくある落とし穴(体験談ベースで)

  • 「一括で100万円超を封筒で」——証跡が残らず用途が曖昧に。
  • 「親のクレジットで払った後に祖父母から補填」——親への贈与と整理される余地。
  • 「パンフに“審美目的”の文言」——医療費扱いが難しくなる可能性。

手順(迷ったらこの順で!)

STEP.1
目的の確認
噛み合わせ・咀嚼・発音など「機能改善」が主目的かを歯科で確認。
STEP.2
支払い方法の決定
祖父母→医院へ直接支払いを基本に。領収書は患者名義で。
STEP.3
証憑の保管
診療計画・見積・領収書・振込控・通院記録をセットで保存。
STEP.4
年内管理
暦年課税の枠(110万円)も意識して、現金授受がある場合は分散・都度払い。
STEP.5
申告フォロー
医療費控除の要件確認と申告準備。必要なら税理士へ相談。

Q&A(贈与税と矯正費用)

祖父母が医院へ直接支払えば、基本的に贈与税は不要ですか?

医療目的で必要な都度・直接支払うなら、「生活費・教育費」の非課税に該当しやすいです。用途が明確で、預金などに回さないことが条件です。

年間110万円以内なら現金をもらっても大丈夫?

暦年課税の基礎控除内(110万円)であれば、原則贈与税はかかりません。ただし、使い切らず預金されると「生活費・教育費の非課税」にはならない点は別問題です。

美容目的の矯正はどう扱われますか?

医療費として認められず、医療費控除の対象外。祖父母からの負担は贈与と判断されやすく、課税リスクが上がります。

教育資金の一括贈与の非課税制度は使えますか?

制度はありますが要件が細かく、原則は教育資金が対象。まずは「生活費・教育費の都度直接支払い」で足ります。適用の可否は金融機関・税理士に確認を。

確定申告で医療費控除を受けるコツは?

診療計画と領収書で「医療目的」を裏づけ、公共交通機関の通院費を含め整理。必要書類はまとめて保管しましょう。

まとめ:安心して支援を受けるために

祖父母が矯正費用を負担してくれるのは、とても心強いサポート!機能改善のための矯正で、必要な都度・直接の支払いにすれば、贈与税の心配はかなり抑えられます。迷ったら、歯科の診療計画で目的を明確にし、領収書と支払い記録をセットで残す。これだけでも安心感が違います。税制はケースごとに判断が分かれることがあるので、高額・特殊なケースは税理士に確認してから進めましょう。

この記事の筆者

「直接支払い」と「必要な都度」の2点を守るだけで、税務の見え方がグッとクリアになります!無理なく、賢く、家族で協力して進めましょう。

参考にしたページ

国税庁|No.1184 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例:

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1128.htm

国税庁|No.4405 贈与税がかからない場合(生活費・教育費):

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4405.htm

国税庁|No.4408 贈与税の非課税|教育資金の一括贈与:

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm

国税庁|No.4402 贈与税の基礎控除:

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4402.htm