子どもの歯が生えそうな場所に、青紫色のふくらみができることがあります。原因の一つが、歯ぐきの中に液体がたまる「萌出嚢胞(ほうしゅつのうほう)」です。歯が出てくるにつれて処置なしで落ち着く場合もありますが、色だけでは診断できません。まず歯科で、ふくらみと、その下の歯を見てもらいましょう。
歯が出てくる部分にできる袋状のふくらみ
萌出は「歯が生えてくること」、嚢胞は「液体などが入った袋状の病変」を指します。萌出嚢胞は、生えかけの歯の表面を覆う組織が離れ、その間に液体がたまったものです。あごの骨の中ではなく、歯ぐきの軟らかい部分にできます。
乳歯でも永久歯でも起こり、見た目は歯ぐきに近い色のことも、青色や茶色に見えることもあります。中に血液が混じると色が濃くなる場合がありますが、青いから感染している、黒っぽいから重い病気だと判断することはできません。
診察では、ふくらみの位置、歯が見えているか、痛みや出血があるかなどを確かめます。下にある歯や、別の病変との違いを調べるために、画像検査が必要になることもあります。
参考
Eruption Cyst(2025年7月10日更新)Cleveland Clinic
「嚢胞」という名前でも、生じる場所が違う
歯ぐきの萌出嚢胞と、骨の中の含歯性嚢胞は同じものではありません。下唇によくできる粘液嚢胞も、歯が生えるときの袋とは仕組みが異なります。
| 名称 | 生じる場所と歯との関係 |
|---|---|
| 萌出嚢胞 | 生えかけの歯を覆う、歯ぐきの軟らかい部分 |
| 含歯性嚢胞 | あごの骨の中。埋まっている歯の、頭に当たる部分の周囲 |
| 粘液嚢胞 | 下唇など。唾液が出る管の傷などにより、唾液が周囲へ漏れてたまる |
この表は、写真や鏡だけで病名を選ぶためのものではありません。ふくらみの下に歯があるか、骨の中に変化があるかは、見た目だけでは分からないためです。
参考
顎骨嚢胞(2017年更新:含歯性嚢胞の位置の説明)慶應義塾大学病院 KOMPAS
経過を見る場合と、処置を考える場合
米国小児歯科学会の2025年改訂資料では、萌出嚢胞は、歯がその部分を通って生えてくるため治療を必要としないことが多いと説明されています。一方、ふくらみが大きくなり、特にかむときに不快感がある場合は、歯を覆う組織の一部を開く処置が検討されます。
診断後に経過を見ることになったら、歯がどの程度見えるようになったか、ふくらみが変化したかを、次の診察で確認します。受診の間隔は担当の歯科医と決めてください。針で刺す、つぶす、強く押すといった処置を家庭で行わないようにしましょう。
痛みが出た、出血を繰り返す、膿のようなものが見える場合は、予定した診察日を待たず歯科へ症状を伝え、受診時期を確認してください。いつから変化したか、食事に困っているかも伝えましょう。
資料確認日:2026年10月9日。

