永久歯がすべて生えそろうまで、矯正相談を待つ必要はありません。一方で、早く相談した人全員がすぐ装置を付けるわけでもありません。治療を始める時期は年齢だけでなく、歯の生え替わり、かみ合わせ、顎の成長、永久歯が進む方向を検査して決めます。
乳歯と永久歯が混在する時期を「混合歯列期」といいます。この時期の相談には、今すぐ対応したほうがよい問題を見つけることと、永久歯が増えるまで経過を追うことの両方が含まれます。
永久歯が生えそろう前に確認したい状態
次のような状態は、治療の必要性を自己判断せず、小児歯科または矯正歯科で相談するきっかけになります。
- 上下の前歯のかみ合わせが反対になっている
- 片側だけ反対にかみ、顎を横へずらして閉じている
- 永久歯が生える場所から大きく外れている、左右で生え替わりに大きな差がある
- 乳歯を失った場所へ隣の歯が寄り、永久歯の場所が不足している
- 指しゃぶりや舌の癖が続き、前歯がかみ合わない
米国小児歯科学会の指針でも、乳歯列・混合歯列・永久歯列という段階ごとに診察と記録を行い、交叉咬合(上下の歯の左右関係が一部で反対になった状態)や異所萌出(永久歯が通常と異なる方向へ生えること)などに応じて時期を判断するとしています。
「早期治療」と「永久歯列の治療」は目的が違う
| 時期 | 主な目的 | 確認しておくこと |
|---|---|---|
| 混合歯列期 | 顎をずらしてかむ状態の改善、永久歯が生える場所の管理、成長の観察など | 今回の治療だけで完了するのか、永久歯がそろった後にも治療を予定するのか |
| 永久歯が増えた後 | 歯を並べ、上下のかみ合わせを整える | 抜歯の可能性、装置、治療範囲、保定まで含む総額 |
早期治療を受けても、永久歯がそろった後に追加治療が必要な場合があります。反対に、診察の結果「今は装置を使わず、歯科が設定した間隔で生え替わりを見る」となることもあります。経過観察は放置ではなく、写真や模型、X線写真などを比べて変化を追う診療です。
初回相談で聞くとよいこと
診察では、現在の問題を「歯の位置」「顎の骨格」「生え替わり」に分けて説明してもらいましょう。そのうえで、今治療する目的、待つ場合の観察項目、次回受診の目安、二段階の治療になる可能性を確認します。
学校生活に関しては、給食後の歯磨き、部活動での接触、装置が外れたときの連絡方法も具体的に聞いておくと実行しやすくなります。混合歯列期の治療後、永久歯がそろってから再び治療する可能性があるかも確認してください。
生え替わりの歯に強い痛み、歯ぐきの腫れ、外傷後の位置のずれ、出血が続く場合は、矯正の開始時期とは別の問題かもしれません。次回相談を待たず、当日中に一般歯科や小児歯科へ連絡してください。顔や喉が急に腫れ、呼吸や飲み込みが難しい場合は119番へ連絡します。
開始年齢より「今見る理由」を確認する
永久歯がそろう前の相談で大切なのは、早く装置を付けることではありません。今すぐ対応する問題、成長とともに観察する問題、永久歯列で治す問題を分けてもらい、次の確認時期まで共有しましょう。
参考情報
参考
Management of the Developing Dentition and Occlusion in Pediatric DentistryAmerican Academy of Pediatric Dentistry
参考
矯正歯科治療について日本矯正歯科学会

