見た目を整える一般的な歯列矯正は、原則として公的医療保険の対象外です。ただし、国が定める疾患に起因するかみ合わせの異常や、顎の骨を切る手術が必要な顎変形症などは、診断・医療機関などの条件を満たすと保険診療になる場合があります。
保険適用は病名だけで決まらない
2026年度の厚生労働省資料は、保険対象となり得る状態を次の表のように示しています。国が定める疾患、生えない歯、顎の手術などで条件が異なります。診断に加え、施設基準を届け出た医療機関での診療が必要です。学校健診で指摘されただけでは、矯正治療全体が保険になるとは決まりません。
| 対象となり得る状態 | 必要な条件の例 | 医院に聞くこと |
|---|---|---|
| 国が定める疾患 | その疾患がかみ合わせの異常の原因 | 診断名と対象条件 |
| 前歯・小臼歯(犬歯の後ろ、大臼歯の手前にある歯)の永久歯3歯以上が生えない | 埋まった歯を出す開窓術(歯ぐきを開く手術)が必要 | 対象の歯と手術の必要性 |
| 生まれつき歯が連続して3歯以上ない | 18歳未満で、その欠如がかみ合わせ異常の原因 | 欠如した歯と年齢の条件 |
| 顎変形症 | 顎の骨を切る手術の前後の矯正 | 手術と連携先の計画 |
「対象条件のどれに該当する可能性があるか」「その医療機関は該当条件の施設基準を届け出ているか」を電話で確認します。届出状況は、所在地を管轄する地方厚生(支)局が公開する施設基準の届出受理医療機関名簿で、「矯診」(歯科矯正診断料)または「顎診」(顎口腔機能診断料)を確認します。
自費治療と混ぜて総額を比べない
希望する装置や治療案が保険診療の範囲外なら、自費の代替案として別の治療計画・見積書を出してもらいます。保険案と自費案を一つの総額へ混ぜず、それぞれの治療目標、装置、通院、保定(治療後の歯をリテーナーで安定させる段階)、追加費用を比較してください。
医療費控除は医療保険とは別制度
国税庁は、年齢や目的などから社会通念上必要と認められる歯列矯正費用は医療費控除の対象となり得る一方、容貌を美化する目的の費用は対象外と案内しています。個別の税務判断は、領収書や治療目的が分かる資料を用意し、税務署へ確認してください。
医療費控除の対象条件は健康保険とは別です。支払者と治療目的の確認方法は関連記事でも整理しています。
参考情報
参考
特掲診療料の施設基準等厚生労働省(2026-08-11確認)
参考
矯正歯科治療が保険診療の適用になる場合とは日本矯正歯科学会(2026-10-29確認)
参考
厚生労働大臣が定める掲示事項等厚生労働省(2026-08-11確認)
参考
保険診療の理解のために(令和8年度、23ページ、2026-10-29確認)厚生労働省
参考
医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例国税庁(2026-08-11確認)


