歯並びを整えたいのに、歯医者を思い浮かべるだけでつらくなる。予約を取っても怖くて行けない。そのような場合は、矯正装置を選ぶ前に、歯科治療への恐怖に対応できる相談先を探すところから始められます。
ここでは、治療の痛みが気になるという疑問よりも、恐怖のため受診を避けてしまう成人の方を主な対象にします。検査の型取りでえずくことや、治療開始後のストレスとは分けて考えます。
予約を避けるほどの恐怖は、診療で伝えてよい情報
九州大学病院は、診療台に座れない、注射を強く恐れるなど、歯科治療への恐怖によって通常の診療を受けにくい状態を診療対象に挙げています。過去の経験など背景はさまざまで、記事だけで「歯科恐怖症」と診断することはできません。
相談では、怖さの強さだけでなく、受診への影響を伝えます。「予約を何度も取り消した」「歯の痛みがあっても受診できない」「説明を聞くことはできるが、注射を考えると行けなくなる」など、実際に起きたことが手掛かりになります。
恐怖がなくなるまで虫歯などの診察も待つ、ということではありません。痛みや腫れがある場合は予約の連絡でその症状を先に伝え、急いで必要な診療があるかを歯科医に判断してもらいます。
処置を受ける支援と、恐怖への取り組みは目的が違う
| 方法 | 主な目的 |
|---|---|
| 説明や診療の進め方の調整 | 何が起こるか分かり、受け入れられる範囲を確かめる |
| 鎮静 | 薬で不安や緊張を和らげ、予定した処置を受けやすくする |
| 認知行動療法などの心理的支援 | 恐怖に関わる考えや行動を整理し、受診への困りごとに取り組む |
これらは全員が順番に受けるものではありません。処置の必要性、本人の希望、体の状態、医療機関の体制に合わせて、組み合わせを考えます。
鎮静を受ければ、その後も怖くなくなる?
鎮静は、薬を使って処置中の不安や緊張を和らげる方法です。九州大学病院では、治療担当医と歯科麻酔科が連携して方法を検討しています。今回の処置を受けるための支援と、その後の受診への恐怖がどう変わるかは、別に相談する必要があります。
矯正は装置を付ける日だけで終わりません。鎮静を希望する場合も、「必要な診療のうち、どの処置が対象になるか」「通院を続けるために他の支援も必要か」を治療開始前に聞いてください。
認知行動療法では何をする?
認知行動療法(CBT)は、考え方、気持ち、行動のつながりを整理し、困りごとへの対処を練習する心理療法です。英国のGuy’s and St Thomas’ NHS Foundation Trustは、歯科への恐怖を支援する方法の一つとして紹介しています。
同施設は、診療室へ入ること、注射を受けることなど、本人が困る場面を確認して支援しています。日本では受診する医院によって対応が異なります。希望する場合は、歯科医から心理職や精神科・心療内科への相談が必要か、連携先があるかを聞きます。
矯正の契約前に、継続して通える支援を確認する
受診先には、矯正の希望に加えて「恐怖が強く受診を避けてきた」と予約前に伝えます。そのうえで、恐怖への評価をどこで受けるか、必要な歯科治療をどこで進めるかを相談してください。
- 恐怖への対応と矯正治療を、同じ施設で相談できるか
- 紹介が必要な場合、どの診療科・施設が窓口になるか
- 鎮静などを検討する場合、対象の処置と費用をいつ説明してもらえるか
- 初回の検査が難しかった場合、次の計画を誰と相談するか
初回にできたことだけで、今後のすべての診療を受けられると決める必要はありません。反対に、一度つらかったから矯正を諦めると決める必要もありません。まずは受診を妨げている場面を言葉にして、続けられる計画を一緒に考えてもらいましょう。
参考情報
確認日:2026年9月9日。国内病院の診療案内と、英国NHSの歯科心理支援の案内を参照しています。特定の方法で恐怖が必ず解消することや、日本での提供体制・費用を保証するものではありません。
参考
歯科麻酔科:歯科治療恐怖症九州大学病院
参考
Dental anxiety supportGuy’s and St Thomas’ NHS Foundation Trust
参考
Cognitive behavioural therapy (CBT)NHS


