顎がずれて見える理由は一つではありません。歯が先に当たって下顎を横へ動かしてかむ場合、顎の骨格に左右差がある場合、顎関節の状態、顔の軟組織(皮膚・脂肪・筋肉など)の左右差、写真の角度でも見え方が変わります。
「顎のずれ」を診察で分ける
下顎位とは、上顎に対する下顎の位置です。口を閉じる途中と、実際に歯をかみ合わせた位置を比べ、歯の接触で下顎が誘導されていないか確認します。正面・横顔の規格写真(同じ条件で比較する写真)、口の中、顎の動き、必要に応じてX線画像などを組み合わせます。
| 気づいたこと | 診察で確認する点 | 次に伝えること |
|---|---|---|
| 口を閉じる途中で顎が横へ動く | どの歯が先に当たり、噛む位置が変わるか | 動き始める位置と、右・左のどちらへ動くか |
| 噛む前から顔の左右差がある | 撮影条件と顔・顎骨の形を分ける | 以前からか、最近変わったか |
| 動かすと痛む、口が開けにくい | 顎関節と筋肉、外傷の有無 | 始まった日、痛み、開閉のしにくさ |
この表だけで原因は診断できません。骨格の評価に必要な画像検査は、診察した医療機関が目的を決めて選びます。
歯の接触で顎が横へ動く「機能的偏位」
機能的偏位は、口を閉じる途中で一部の歯が先に当たり、それを避けるように下顎が左右へずれてかむ状態です。顎の骨そのものの左右差とは治療の考え方が違うため、自然に口を閉じた位置と、歯をかみ合わせた位置の両方を診てもらいます。
治療法は原因と成長段階で変わる
- 歯の位置や接触が主な場合:矯正で歯の位置とかみ合わせを調整することがあります。
- 成長期:成長の経過を見ながら、装置を使うか判断します。
- 成人で骨格差が大きい場合:矯正単独の限界を説明し、顎変形症を扱う医療機関で外科矯正を検討することがあります。
顎変形症は、顎の骨格のずれが大きく、かみ合わせなどに問題がある状態です。顔の左右差だけで診断されるものではなく、すべての人に手術が必要なわけでもありません。
スマートフォンの広角撮影、顔の向き、表情、照明で左右差は変わります。比較するなら同じ距離・姿勢で撮り、診察では写真以外の所見も確認してもらいましょう。
早めに受診する症状
顎が急に開かない・閉じない、外傷後にかみ合わせが変わった、強い痛みや腫れがある場合は当日中に歯科口腔外科へ相談します。外傷で永久歯が抜けた、または歯の位置が大きく変わった場合は直ちに歯科へ連絡して受診してください。以前からある左右差や、痛みがなく口を開閉できる状態で音だけがする場合は、次回の歯科診察で変化を伝えます。痛みや開けにくさが加わったら、次回を待たず担当歯科へ連絡してください。
顔全体の左右差と撮影条件は次の記事で詳しく扱います。
骨格差が大きく外科矯正を提案された場合は、治療の流れも確認できます。
参考情報
参考
矯正歯科治療について日本矯正歯科学会
参考
顎変形症日本頭蓋顎顔面外科学会
参考
顎変形症治療の手引き(2026年版)日本顎変形症学会
参考
歯の外傷日本歯科医師会
資料確認日:2026年10月27日。


