歯列矯正で手術が必要となるケースについて

歯列矯正と聞くと「ワイヤー装置で歯を動かす」「マウスピース矯正をする」といったイメージが強いかもしれません。でも実は、歯のズレだけでは矯正が難しく、あごの骨の位置関係に問題があるために手術が必要なケースもあるんです! 歯並びだけではなく、噛み合わせやあごの骨格を含めた総合的な治療になるため、少しハードルが高く感じられるかもしれません。しかし、自分の骨格や歯並びを大きく変えられる可能性があるため、矯正治療の中でも大掛かりな分だけ大きなメリットを感じる方も多いです。

本記事では、なぜ手術が必要になるのか、どのようなリスクや注意点があるのかをできるだけ分かりやすく解説していきます。さらに、矯正治療に伴う基本的なリスクについても触れ、より安全に矯正を進めるためのヒントもご紹介します! 歯並びとあごの位置関係は見た目だけでなく、発音やかみ合わせといった日常生活にも大きな影響を与えます。だからこそ、正しい知識をもって準備を進めていくことがとても大切です。

手術が必要になる歯列矯正とは?

一般的に「外科矯正」や「外科的矯正治療」と呼ばれるものが、手術を伴う歯列矯正です。これは、ワイヤーやマウスピースだけでは改善できない骨格的な問題を、外科手術によってあごの骨の位置や形を整える治療のことを指します。例えば、顎変形症(がくへんけいしょう)と診断されるケースでは、保険適用になる場合もあるため、費用面の負担が軽くなることも考えられます。ただし条件や診断内容によって異なりますので、担当の歯科医師や医療機関とよく相談しましょう!

具体的には、下あごが極端に前に出ている「受け口」や、逆に上あごの成長が著しくて「出っ歯」と呼ばれるような噛み合わせ、あるいは左右のズレが大きい場合などに手術が検討されることがあります。あごの骨の形態に原因がある不正咬合は、単なる歯の移動だけでは改善が難しいため、外科的なアプローチで骨格自体を調整し、その後の矯正治療で歯並びを整えていく流れになるのが一般的です。

外科矯正の流れの一例

‘STEP.1’
‘検査・診断’
まず歯のレントゲンやCTスキャンなどで骨格や歯並びを詳細に把握します。顎変形症など骨格の問題がある場合、専門医療機関に紹介されることも多いです。
‘STEP.2’
‘術前矯正’
手術を行う前にワイヤーやマウスピースによる矯正で、歯の位置をベストな位置に近づけます。術前矯正をしない場合もありますが、より精度を高めるために多くの患者さんがこのステップを踏みます。
‘STEP.3’
‘外科手術’
入院または日帰りでの手術が行われるケースがあります。上下のあごの骨を切開し、理想的な位置に調整してから固定します。
‘STEP.4’
‘術後矯正’
手術後に再び歯列矯正を行います。あごの骨の位置が変わった状態で歯を最終的にきれいに並べていく作業となります。
‘STEP.5’
‘保定期間’
矯正装置を外した後、後戻りを防ぐために保定装置を使います。これを怠ると、せっかく整えた歯並びが元に戻ってしまうリスクが高まります。

これら一連の流れを見ると分かるとおり、外科矯正では「歯を動かす」+「骨格を手術で整える」という二段階の工程を踏むのが特徴です。手術の有無によって治療期間も大きく変わりますし、手術をする場合はしっかりとした検査や診断が不可欠。さらに、口腔外科や矯正歯科を専門に扱う医院や病院の連携が必要になることも多いため、慎重に治療計画を進めることが大切です。

手術が必要なケースの具体例

先ほど挙げた「受け口」「出っ歯」のほか、上下あごの著しいズレや「開咬(かいこう)」と呼ばれる前歯が閉じない噛み合わせなども考えられます。これらは見た目の問題だけでなく、かみ合わせのバランスが崩れて食べ物を噛みにくいなどの機能的な問題に発展することがあります。あごの骨格が原因の場合、ワイヤーのみの矯正では限界があるため、あごの位置を根本的に変えていく必要が出てくるのです。

MEMO

外科矯正はあくまでケースバイケースです。歯科医師や口腔外科医による詳細な診断がなければ決められません!

骨格に原因がある不正咬合は、成長過程の年齢や骨の状態によっても治療方針が大きく変わります。10代〜20代の成長期には骨の成長を見極めながら進める必要がありますし、成人であっても顎変形症と診断されるほど顎骨に問題がある場合には、手術が大きなポイントとなります。手術をするとなると、入院や仕事・日常生活への影響もあるため、治療期間は長期にわたることが多いです。その反面、骨自体を動かすことで根本的な問題解決を目指せるのが大きな特徴でもあります。

歯列矯正装置の種類と手術との関係

マウスピース型矯正(インビザラインなど)で対応できる歯並びのズレは年々増えてきています。軽度から中程度の不正咬合なら、あごの手術なしでも歯の移動だけで整う可能性が高いですし、インビザラインなどはマウスピースを外して磨けるメリットがあるため、衛生面やライフスタイルの面でも人気が高まっています。ただし、大きく骨格がずれているケースでは、マウスピース矯正だけでは対処しきれない場合があるため要注意です。

注意

大きな骨格的な問題を抱えている場合、マウスピース矯正だけでの改善は難しく、外科矯正が必要な場合があります。

手術の必要性は、患者さん一人ひとりの骨格や歯の状態、年齢などで大きく変わるので、まずは歯科医師の精密検査を受けるのが第一歩です! 外科矯正は大掛かりですが、噛み合わせや顔貌を含むトータルの改善を目指せる治療法として注目されています。

歯列矯正における手術のメリット・デメリット

では、いざ手術をするとなると、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。大まかにまとめると以下のようになります。

メリットデメリット
  • 骨格的なズレを根本的に改善できる
  • あごの位置や顔貌のバランスも整えられる
  • 保険適用の可能性がある(顎変形症の場合など)
  • 手術に伴うリスク(腫れや痛みなど)がある
  • 入院や休暇が必要で生活に影響が出やすい
  • 治療期間が長期化しやすい

骨格的に大きなズレがある場合、手術なしでは歯並びを綺麗に整えられないだけでなく、かみ合わせやフェイスラインなどの問題が残ってしまう恐れがあります。一方で、手術に対する恐怖心がある方や、長期の治療期間を負担に感じる方も少なくありません。必要に応じて、セカンドオピニオンを活用したり、専門の口腔外科を併設している医院を探したりするのがおすすめです。

矯正治療全般におけるリスクへの理解

歯列矯正そのものには、以下のようなリスクがあります。痛みや違和感、装置があたって口内炎ができるリスク、装置の清掃が難しくなることによる虫歯や歯肉炎など…。そして、きちんと保定装置(リテーナー)を付けていないと後戻りしてしまう可能性も無視できません。

  • 個人差はありますが、歯が動く際の痛みや違和感
  • 矯正装置が頬や唇に擦れて口内炎が起こりやすい
  • 歯磨きがしづらくなることで虫歯・歯肉炎・歯周病のリスク増
  • 保定を怠ると歯が元の位置に戻る可能性
  • 使用する矯正装置によっては薬機法対象外で副作用救済制度の適用外となる場合も

もちろんこれらは外科矯正にも当てはまります。ただし外科矯正の場合は、手術による腫れや痛み、麻酔、あごの骨の固定具合、入院の必要性など、通常の矯正以上に注意点が多いといえます!

マウスピース矯正と外科矯正の比較

マウスピース矯正は、特に軽度〜中度の歯のズレに適しており、歯磨きのしやすさや装置の目立たなさが魅力です。インビザラインやクリアコレクトなど有名なブランドがありますが、それらのマウスピース矯正で対応できないほどの骨格のズレがある場合には、外科手術を検討する価値が高まります。

インビザライン
費用
(3.5)
見た目
(4.0)
期間
(5.0)
痛み
(2.0)
歯磨きのしやすさ
(4.5)
総合評価
(4.5)

こちらはあくまでも一例ですが、インビザラインをはじめとするマウスピース矯正は多くの方にとって魅力的な選択肢です。特に歯磨きのしやすさに関しては、マウスピースを外してしっかり磨くことができるため、ワイヤー矯正よりも虫歯や歯周病リスクが抑えられる可能性があります。ただし大きな骨格的問題に対しては、外科手術を含めた治療計画が重要になることを押さえておきましょう!


参考
インビザラインについて詳しくはこちらインビザライン公式サイト

手術の前にカウンセリングと検査を

外科手術を含めた矯正治療に進むかどうか悩んでいる方は、まずはカウンセリングを受けてみるのがおすすめです! 歯科医院ではレントゲン、CT、口腔内写真などを用いて総合的に診断し、手術のリスクや治療期間、費用面などを含めて詳しく説明してくれます。ここで大切なのは、自分の希望や生活スタイルをしっかり医師に伝えること。歯並びをただ綺麗にするだけでなく、将来的な安定や健康リスクを考えた上で最良の治療法を一緒に検討しましょう。

外科矯正は、あごの骨を動かすため、見た目の印象が大きく変わることもあります。それゆえに、心理面での負担や周囲の理解も必要です。時間的にも金銭的にも大きな負担となる場合がありますが、それを上回るメリットが得られるケースも多いです。まずは専門家の話をじっくり聞いて、納得のいく形で治療方針を決定していきましょう。

手術を検討する際に押さえておきたいポイント

実際に手術が必要かどうかは、歯科医師や口腔外科医による診断次第です。「なんとなく見た目が気になる」「噛み合わせが悪くてしっかり食べられない」などの悩みがある場合は、まず相談してみるのが第一歩! そのうえで、手術が必要と判断された場合に把握しておきたいポイントを確認していきましょう。

  • 検査やカウンセリングで適切な診断を受ける
  • 保険適用の可能性を確認(顎変形症と診断されるなどの場合)
  • 治療期間や費用、入院の必要性などを理解する
  • 術前・術後の矯正期間も含めた長期的スケジュールを把握する
  • 担当医との信頼関係を築き、不安や疑問をこまめに相談する

以上のようなポイントを押さえながら、外科矯正の必要性をしっかり見極めていきたいですね。外科矯正は確かに大掛かりですが、その分骨格的な課題を根本から改善できる可能性があります。噛み合わせや顔の印象など、長年の悩みが大きく解消されるケースもあるため、慎重に検討する価値は高いでしょう。

術後の注意点やケア

手術後は腫れや痛み、食事の制限などが生じます。口が大きく開けられない状態がしばらく続くこともありますし、入院や通院が必要な期間も考慮しなければなりません。さらに、術後矯正では再度装置を付けるため、口内ケアにも気を配る必要があります。歯磨きはもちろん、装置の破損や歯の移動状況なども定期的にチェックしてもらいながら進めるのが基本です!

銀座で働く現役歯科衛生士の木村さん

外科矯正は大変だけど、しっかり準備して臨めば大きなメリットが期待できます! 術後のケアを丁寧にすれば、良い状態を長く保てるはずです。

よくある質問(Q&A)

外科矯正と普通の矯正はどう違う?

通常の矯正は歯を動かして並びを整えるのみですが、外科矯正はあごの骨の位置を手術によって大きく変えていく治療を含みます。骨格自体に原因がある場合は外科矯正が必要になることが多いです。

手術後のダウンタイムはどれくらい?

個人差はありますが、数週間ほどは腫れや痛みなどが続くことがあります。入院が必要な場合は1〜2週間程度とされることが多いですが、術式や医院の方針で異なります。

保険適用で手術ができるのはどんな場合?

顎変形症などの診断が付くと健康保険の適用となる場合があります。ただし歯科医院によって対応が異なることがあるため、詳しくは受診した医療機関に確認しましょう。

マウスピース矯正で手術は不要になる?

軽度の歯並びや中程度のズレであれば、マウスピース矯正のみで十分キレイに整うケースもあります。しかし大きな骨格的ズレがある場合は手術が必要になることがあるので、専門家の診断が重要です。

外科矯正の治療期間はどのくらいかかる?

個人差がありますが、術前矯正から術後矯正、保定期間まで含めると2〜3年以上かかることも珍しくありません。長期的な視点で計画を立てることが大切です。

まとめ

歯列矯正で手術が必要になるケースは、骨格的なズレや噛み合わせの問題が大きい場合です。外科矯正はたしかに体への負担や時間、費用の問題などデメリットも存在しますが、その分根本的にあごの位置を整え、見た目や機能を大きく改善できる可能性があります。マウスピース矯正が進歩しているとはいえ、あごの骨レベルのズレを補正するには手術が必要な場面も多いです。まずは歯科医師や口腔外科医のカウンセリングを受け、リスクやメリットをしっかり理解したうえで自分に合った治療法を選んでください!

この記事の筆者

最後まで読んでくださり、ありがとうございます! 歯列矯正は人生を大きく変える可能性がある治療だからこそ、安心して進められるように情報収集をしっかりと行いましょう!