歯列矯正でかみ合わせを整えても、歯根の問題を一律に予防できるとはいえません。むしろ矯正中は、歯根吸収(歯の根が短くなる変化)が起こる可能性があります。治療前の状態を画像で確認し、治療中の変化に応じて力や計画を見直すことが大切です。
「歯根の問題」を分けて考える
| 状態 | 意味 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 歯根吸収 | 歯根の一部が短くなる変化 | 治療前後のエックス線画像など |
| 歯根膜の痛み | 歯と骨の間にある組織へ炎症や負担がある状態 | かむ痛み、打診、歯の状態を診察 |
| 歯肉退縮 | 歯ぐきが下がり根の表面が見える状態 | 歯ぐきと歯槽骨(歯を支える骨)を評価 |
治療前に伝えること
過去に歯を強くぶつけた、神経の治療を受けた、以前の矯正で歯根吸収を指摘された、歯が揺れるといった情報は診断に影響します。日本矯正歯科学会の標準治療の指針は、治療前に歯根形態を確認し、リスクの高いケースでは矯正力や期間へ注意する考え方を示しています。
治療中に歯根吸収が見つかったら
程度、動かす必要がある距離、残りの治療目標を確認し、力を弱める、移動を休む、目標を変更するなどを歯科医師が検討します。患者が装置を外したり調整したりする問題ではありません。「どの歯に、どの程度の変化があり、治療目標をどう変えるか」を画像を示して説明してもらいましょう。
症状ごとに連絡時期を分ける
特定の歯だけ強くかむと痛い、歯の色が変わった、歯の揺れが急に増えた場合は、数日以内に矯正歯科へ予約を相談します。歯ぐきから膿が出る、強い腫れや発熱がある、飲み込みにくい場合は当日中に歯科または口腔外科へ連絡してください。
矯正で歯根トラブルを予防できると期待するより、治療前の画像と既往歴を確認し、治療中の変化を見つけることが現実的です。歯根吸収、歯根膜の痛み、歯肉退縮を混同せず説明を受けてください。
参考
矯正歯科治療における標準治療の指針 第1版日本矯正歯科学会、2022年9月12日(2026年8月11日確認)
参考
放っておかないでこんな症状日本歯科医師会(2026年8月11日確認)


