矯正装置の部品が見当たらないときは、まず呼吸と意識を確認します。誤飲は部品が食道から胃などの消化管へ入ること、誤嚥は気管や肺へつながる気道に入ることです。名前は似ていますが、必要な対応が違います。
最初に呼吸・声・咳を確認する
| 今ある症状 | 取る行動 |
|---|---|
| 声が出ない、十分に咳ができない、強い息苦しさ、顔色が青黒い、反応がない | 気道がふさがっている可能性があるため119番 |
| 呼吸はできるが、激しい咳、ゼーゼーする、声が急に変わった状態が続く | 気道へ入った可能性を伝え、直ちに救急外来を受診 |
| 息は安定しているが、唾液を飲めない、飲み込むと強く痛む、胸につかえる | 食道にとどまっている可能性があるため直ちに救急外来を受診 |
| 症状はないが、部品を飲み込んだ、または見つからない | 当日中に医療機関へ電話で相談 |
声が出て十分に咳ができる場合は、無理に口の奥へ指を入れず咳を続けます。声が出ない、咳が弱いなど窒息が疑われる場合は、119番の通信指令員の指示に従ってください。
症状がない場合も、医療機関へ相談した後、矯正歯科へなくなった部品の種類を確認します。地域で利用できる場合は、救急安心センター(#7119)で受診先の案内を受けられます。
症状がなくても部品の確認が必要な理由
飲み込んだ部品への対応は、大きさだけでなく、先端が鋭いか、ワイヤーのように長いか、どこにあるか、いつ飲み込んだかで変わります。消化管異物の診療ガイドラインでも、鋭い物や食道にとどまった物は、症状と位置に応じた評価が必要とされています。
「小さいから自然に出る」と決めつけたり、便だけを確認して受診判断を遅らせたりしないでください。画像検査や内視鏡が必要かは医療機関が判断します。金属でも薄い部品などは画像で確認しにくいことがあるため、撮影で見えなかったことだけで体内にないとは判断できません。
連絡前に分かる範囲で整理する
- なくなった部品:ブラケット、ワイヤー、ゴム、矯正用アンカースクリューなど
- おおよその形、大きさ、先端の鋭さ
- なくなった時刻と、その直後に咳き込んだか
- 現在の呼吸、声、咳、飲み込み、胸・腹部の症状
- 同じ種類の部品の写真や、口の中のどこから外れたか
口の中に残ったワイヤーや装置は、自分で切ったり引き抜いたりしません。さらに部品が外れそうなら食事を止め、矯正歯科へ扱いを確認します。
自己判断で吐かせると、部品が再び食道や気道を傷つけるおそれがあります。ご飯などを大量に食べて押し流す方法も、部品の位置や形が分からない段階では行わないでください。飲食してよいかを含め、連絡した医療機関の指示に従います。
受診後も伝える症状
医療機関へ相談した後に腹痛、繰り返す嘔吐、発熱が出た場合は、その症状が出た当日に医療機関へ連絡し、異物を飲み込んだ可能性を伝えます。血を吐く、便に血が混じる、真っ黒い便が出る、新たに強い呼吸困難や意識障害が出た場合は119番です。
矯正歯科では、外れた原因と残った装置の状態も確認します。医科で部品の位置を確認した場合は、分かる範囲で結果を共有し、修理する範囲と再開時期を相談してください。
誤飲・誤嚥時の判断に使った情報
以下の公的情報・診療ガイドラインを2026年8月11日に確認しました。
参考
お餅を喉に詰まらせたら? 正しい対処法を知ろう!日本赤十字社
参考
気道異物の除去(反応がない場合)総務省消防庁
参考
救急安心センター事業(♯7119)ってナニ?総務省消防庁
参考
Management of ingested foreign bodies and food impactionsAmerican Society for Gastrointestinal Endoscopy
参考
Guidelines for the management of aspirated or ingested foreign bodiesBritish Orthodontic Society
参考
こんな時は迷わず119へ厚生労働省

