鼻づまりやいびきは歯並びが原因かも?歯列矯正で呼吸をラクにするためのポイント

歯並びと呼吸のしくみをおさらい!

私たちがスムーズに鼻呼吸できるかどうかは、上顎の幅歯列弓の形舌の位置といった口腔内の構造に大きく左右されます。上顎が狭い、あるいは出っ歯(上顎前突)で唇が閉じにくい場合、自然に口呼吸が習慣化しやすく、鼻やのどに余計な負担がかかります。近年のCBCT(コーンビームCT)研究では、歯列不正のあるグループで上気道容積が有意に小さいことが報告されています。

鼻腔・副鼻腔に及ぼす影響

慢性的な鼻づまりと歯列の関係

鼻粘膜の腫脹による鼻閉は、ただのアレルギー性鼻炎と思われがちですが、〈上顎骨の劣成長=狭い鼻腔〉を背景に起こるケースもあります。日本の小児対象調査では、口呼吸児の約6割に歯列・咬合異常が確認されたとのデータが示されています。

副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)との関連

副鼻腔の換気が悪い状態が続くと細菌感染を起こしやすくなります。上顎洞底は上顎犬歯~第一小臼歯と接しており、歯根と副鼻腔が近接している点も見逃せません。歯列矯正で口呼吸を鼻呼吸へシフトできれば、上顎洞の換気改善が期待できると指摘する臨床報告も増えています。

のど(咽頭・気道)と歯並びの意外な関係

上気道の狭窄メカニズム

口呼吸がクセになると舌は低位で前方に押し出され、睡眠時に舌根が咽頭側へ落ち込みやすくなります。その結果、いびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクが上昇します。気道容積の3次元解析レビューでは、クラスII不正咬合(出っ歯型)で咽頭気道が有意に狭いことが確認されました。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

近年は「歯科領域でのスクリーニング」が注目されています。一般開業歯科でも簡易検査機を使い、患者さんを医科へ紹介する流れが推奨されています。なお、現時点で矯正装置だけでSASが確実に治ると断定した研究は存在しませんが、顎の拡大バイトの調整が気道容積の増大に寄与する可能性は示唆されています。

歯列矯正が関連する鼻やのどの代表的な病気

  • アレルギー性鼻炎・花粉症と口呼吸(歯列不正リスク)
  • 慢性副鼻腔炎(矯正後に換気改善の報告あり)
  • いびき・SAS(上顎拡大や舌位置の改善効果が検討中)
  • 咽頭炎・扁桃肥大(二次的に口呼吸を助長)
  • 滲出性中耳炎(鼻咽腔圧の変化が影響)
MEMO

鼻づまりがひどい時期に「口がぽかん」と開いてしまう癖がつくと、それ自体が歯並びを悪化させる負のスパイラルを生むことがあります。早めの耳鼻科受診とあわせて、歯科でのチェックもおすすめ!

歯列矯正を検討する前に知っておきたいリスクとケア方法

矯正治療では痛み装置による口内炎などの一時的トラブルが起こる可能性があります。また、装置周囲にプラークが残りやすくなるため、虫歯・歯周病リスクが増大保定を怠ると後戻りする点も重要です。完成物薬機法対象外装置(CAD/CAM製作マウスピース等)の場合、医薬品副作用被害救済制度の対象外となることがあります。

注意

治療効果や期間には個人差があります。症状や病気の改善を保証するものではありません。専門の歯科医師・耳鼻咽喉科医と相談しながら進めましょう。

治療の流れをイメージ

STEP.1
カウンセリング
鼻づまり・いびきの既往をヒアリングし、必要に応じて医科紹介状を用意。
STEP.2
精密検査
CBCTで歯列と気道容積を同時評価。
STEP.3
治療計画立案
拡大装置/マウスピース矯正/ワイヤー矯正などを選択。
STEP.4
矯正スタート
1〜2か月ごとに調整。セルフケア指導を徹底!
STEP.5
保定・経過観察
気道状態も含め、医科と連携してフォローアップ。

症例データと最新研究からみる関連性

研究対象主な結果
Upper airway volume & skeletal class I–III(2024)成人126名クラスIIで上気道容積が平均12%減少
CBCT systematic review(2024)小児・成人19研究急速拡大装置後に気道面積が平均37%増
矯正後のSAS改善事例レビュー(2025)症例報告68例AHIが平均9→4へ低下(ただし症例選択バイアスあり)

実際の声:SNSから見える変化

「矯正後に睡眠の質が上がった!」という投稿もあれば、「装置に慣れるまで口内炎が辛かった…」という声も。リアルな体験談をチェックしておくと、治療中のモチベーション維持に役立ちます!

この記事の筆者

呼吸の質が変わると日中の集中力がアップしたという患者さんも!ただし医科との二人三脚が大切です。

銀座で働く現役歯科衛生士の木村さん

矯正中はワンタフトブラシとフロスを併用すると装置周りまでスッキリ磨けますよ!

まとめ

鼻やのどの不調が「ただの花粉症」「加齢だから仕方ない」で済まない場合、歯並びという少し意外な要因が隠れていることがあります。口呼吸⇔歯列不正⇔気道狭窄の悪循環を断つためには、耳鼻咽喉科と矯正歯科が連携し、総合的にアプローチすることが大切。矯正治療は呼吸機能を直接保証するものではありませんが、「気道を広げる余地」をつくる点で一助となる場合があります。まずは専門家に相談し、自分にあった選択肢を確認してみてください!

よくある質問

鼻づまりがある場合、矯正治療は先延ばしにした方がいい?

耳鼻咽喉科で治療と並行しながら矯正を進めるケースが一般的。気道評価を含む検査が推奨されています。

矯正で睡眠時無呼吸症候群は必ず改善しますか?

症状の程度・原因によって異なります。改善の可能性はありますが、医科的治療との併用が基本です。

装置による痛みはどのくらい続きますか?

個人差がありますが、調整後2〜3日で落ち着くことが多いです。鎮痛薬は医師の指示に従って使用を。

マウスピース矯正とワイヤー矯正、呼吸への影響に差は?

装置そのものよりも「上顎拡大」や「舌スペース確保」の有無が気道容積に影響します。治療計画次第です。

治療費用は保険適用になりますか?

原則自費診療ですが、顎変形症など医科併用の外科的矯正は保険適用の可能性があります。詳細は医療機関へ。

花粉症の季節だけ口呼吸になる場合も矯正を考えるべき?

一時的な鼻閉が長期的に歯列へ影響することは少ないものの、慢性化すると歯並び悪化のリスクがあるため要相談。