開咬(かいこう、オープンバイト)は、奥歯をかみ合わせても、上下の前歯などが接触しないかみ合わせです。前歯で食べ物を切りにくい、発音時に息が漏れるなど、困り方は人によって違います。鏡で隙間が見えても、原因や必要な治療までは分かりません。
下の図は、奥歯をかんだときに前歯の間へ隙間が残る例です。奥歯が当たらない状態も開咬と呼ばれますが、この記事は主に前歯が当たらない場合を扱います。

開咬では、奥歯をかんでも前歯に隙間が残ります。
前歯が当たらない原因は一つとは限らない
歯の生え方や位置、上下の顎の骨格、舌で歯を押す癖、長く続いた指しゃぶり、鼻づまりに伴う口呼吸などが関係することがあります。ただし、舌の癖や口呼吸がある人が必ず開咬になるわけではありません。頬杖や姿勢だけを原因と決めることもできません。
矯正歯科では、どの歯が当たらないかを口の中で調べ、歯の位置と顎の形を写真や必要な画像検査で確認します。成長中かどうか、舌の使い方や鼻づまりが続いているかも診察で伝えてください。鼻づまりが続く場合は耳鼻咽喉科へ原因を相談します。
矯正方法は検査で分かった原因と目標で選ぶ
目標は、単に隙間を見えなくすることではありません。どの歯を接触させ、食事や発音で何に困っているかを共有したうえで、次の方法を単独または組み合わせて検討します。
- 歯を動かす矯正:ワイヤーや透明なマウスピース型装置(アライナー)で、前歯・奥歯の位置を調整する
- 歯の動きを助ける装置:上下の装置などに掛ける小さなゴム(顎間ゴム)や、骨に固定して歯を動かす力の支えにする小さなねじ(矯正用アンカースクリュー)を、必要な動きに応じて使う
- 舌や口の周りの筋肉の練習:成長期の子どもで指しゃぶりや舌の癖が関係する場合、口腔筋機能療法を検討する。大人を含む全員に同じ練習を行うわけではない
- 顎の骨格への治療:骨格のずれが大きい場合は、手術を組み合わせる外科的矯正治療も選択肢になる
装置の種類だけで軽症・重症は分けられません。三次元のエックス線検査(CBCT)も全員に必要な検査ではなく、診断に必要かを歯科医師が判断します。日本矯正歯科学会の2023年のガイドラインは前歯部の開咬を対象にしており、どの方法が適するかを個別に決める必要があると説明しています。
治療前の説明は、原因から後戻りまで聞く
診察を受けたら、下の表を上から順に使い、検査結果、治療の目標、別の方法、治療後の管理を確認してください。答えが分からない項目は、その場で選択を急がず、次回の説明で確認できます。
| 確認項目 | 歯科医師への質問例 |
|---|---|
| 原因 | 歯の位置と顎の骨格のどちらが主に関係していますか |
| 目標 | どの歯を接触させ、食事や発音の困りごとはどこまで改善する計画ですか |
| ほかの方法 | 装置を変えた場合や、手術を行う案・行わない案では何が違いますか |
| 治療後 | 保定と習癖への対応を、いつまで、どのように行いますか |
手術の要否や改善の範囲は、検査結果と本人の希望を踏まえて決めます。表の質問だけで個別の診断や治療法は決まりません。
治療後も歯並びと関係する習癖を確認する
保定は、動かした歯を安定させる段階です。リテーナー(保定装置)の使い方に加え、舌で歯を押す癖や鼻づまりが関係していれば、その対応も担当者と決めます。前歯に再び隙間が見える、食べ物をかみ切りにくくなった場合は、次回診察を待たずに通院中の矯正歯科へ連絡し、いつから変化したかを伝えてください。変化がはっきりしないときは、前歯の写真を残して次回診察で見せます。装置は自分で調整しないでください。
マウスピース矯正中に前歯ではなく奥歯が当たらなくなった場合は、装置の浮きとの区別や連絡時に伝える項目を別の記事で確認できます。
開咬について確認した情報
参考
矯正歯科治療の診療ガイドライン(前歯部)開咬編 第1版日本矯正歯科学会、2023年発行(2026年11月1日確認)
参考
矯正歯科治療について日本矯正歯科学会(2026年11月1日確認)
参考
不正咬合の種類と治療法:開咬の治療法日本臨床矯正歯科医会(2026年11月1日確認)
参考
保定期間中に後戻りが起きてしまいました。どうしたらいいですか?日本臨床矯正歯科医会(2026年11月1日確認)


