歯列矯正と舌の癖を放置しないで!きれいな歯並びを守るために今できること

歯列矯正と舌の癖を放置しないで!きれいな歯並びを守るために今できること

こんにちは!毎日ユニットを磨きながら「舌の位置、大丈夫かな?」と患者さんに声をかけている私ですが、実は歯列矯正舌の癖(舌癖)は切っても切れない関係にあります。放置するとせっかく動かした歯が“じわじわ”元に戻ってしまうことも…!この記事では、歯列矯正を成功させるカギとなる舌癖の正体から、セルフチェック法、トレーニング(MFT)のコツ、リスクまでをまるっと解説します♪

そもそも「舌の癖」って何?

舌癖とは、舌が本来の安静位(上顎前歯の裏側に軽く触れる位置)から外れ、前歯や側方歯を長時間押してしまう習慣を指します。代表的なのが舌突出癖で、開咬・空隙歯列を悪化させる要因になるとされています。

代表的な舌癖の種類

  • 舌突出癖(嚥下時・発音時に舌が歯列間から前に出る)
  • 低位舌(安静時に舌が下顎底に沈む)
  • 側方押し出し癖(舌先が左右の歯列を押す)
  • 異常嚥下癖(飲み込むたびに舌が前に出る)
  • 口呼吸由来の舌前方位

舌癖が歯列に与える影響

舌は体の中でも意外と力持ち!1回の嚥下で20~30g程度の圧が前歯にかかると言われており、それが1日に1000回近く繰り返されます。結果として上顎前突・開咬・前歯の唇側傾斜など多彩な不正咬合が引き起こされる可能性があるのです。

セルフチェック:正しい舌の位置を確認しよう

鏡を用意して「イーッ」と微笑んだまま舌を軽く吸い上げてみてください。上顎のスポット(前歯の裏側すぐ後ろ)に舌先がフィットすればOK!
「えっ、つかない…!」という方は舌癖予備軍かも。次のタイムラインで簡単な確認ステップを紹介します。

STEP.1
上顎スポットを探す
前歯裏側にある丸いふくらみを舌先で触れる
STEP.2
舌全体を吸い上げる
舌面が口蓋に密着するかチェック
STEP.3
鼻呼吸を試す
舌を上げたままスムーズに鼻呼吸できれば◎
STEP.4
嚥下を観察
飲み込む瞬間、舌が前に押し出されていないか鏡で確認
STEP.5
会話中の舌先位置を意識
サ行・タ行の発音で舌が歯に当たらないか録音チェック

舌癖を改善するMFT(口腔筋機能療法)トレーニング

MFTでは、舌・口唇・頬筋をバランス良く鍛え、正しい嚥下パターンを習得します。具体的には「スポット保持」「ポッピング」「ガムキック」などのメニューを1日3セット程度行う方法が一般的です。

MEMO

専門クリニックでは、専用器具や写真撮影で経過を確認しながら無理なく進めていきます。自宅トレだけでは不安な方は、歯科衛生士のサポートを受けると安心ですよ!

トレーニングのポイント

  • 毎日同じ時間帯に行い習慣化する
  • 鏡を活用して舌先の位置を厳密にチェック
  • 首・肩をリラックスさせ、正しい姿勢で呼吸
  • 2〜3か月ごとに専門家による評価を受ける

歯列矯正中の舌癖管理ポイント

舌癖が強いまま装置を装着すると、ワイヤーやアライナーが想定外の力を受け、計画通りに歯が動かないことがあります。また矯正終了後のリテーナー期間に舌癖が残存すると“後戻り”の引き金に…。そこで歯科医院では MFT を並行したり、バイトプレート・タングクリブなど補助装置を併用することがあります。

銀座で働く現役歯科衛生士の木村さん

「私はアライナー交換日に必ず舌のチェックシートも配っています!“装置を替える=舌もリセット”という合図にすると、患者さんの意識がグッと上がります♪」

舌癖と睡眠時無呼吸症候群の関係

近年、低位舌が上気道を狭め、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)を悪化させる可能性が示唆されています。逆に舌位を改善し咬合を整えることで、無呼吸指数(AHI)の低減を報告する国内症例も!

矯正治療に伴う一般的なリスク

注意

以下は治療の一般的なリスクで、すべての方に起こるわけではありません。具体的な対策は担当医と相談しましょう。

  • 歯の移動に伴う痛みや違和感(数日で軽減する傾向)
  • 装置が頬や唇を擦り口内炎ができやすくなる
  • 磨き残しから虫歯・歯肉炎・歯周病のリスクが上がる
  • リテーナーを怠ると後戻りが生じる可能性
  • 装置によっては完成物薬機法の対象外で医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合

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これらのリスクは適切なブラッシング指導と定期的なチェックで低減できると考えられています。

舌癖を改善する日常習慣7選

習慣ポイント
姿勢改善猫背になると舌が下がり気道も狭くなるため、背筋を伸ばす意識を持つ
鼻呼吸トレーニング口テープなどを用いて就寝時に鼻呼吸を促す
硬い食材をしっかり噛む咀嚼筋を鍛え、舌と頬の協調運動を向上
水分摂取ドライマウスは舌位置の不安定化を招くため、適度な水分補給を
口周りストレッチスマイル体操で口角・頬筋を柔軟に
発音練習ラ行・タ行をはっきり発音して舌先位置を意識
ガジェット断捨離長時間スマホを見下ろす姿勢は低位舌の原因に。30分に1回は首を起こす!

まとめ

舌癖は「癖」という言葉から軽視されがちですが、実は歯列矯正の成否を左右する大きなファクターです。MFTや日常習慣の見直しで舌をコントロールできると、装置の効果を最大限に活かせるだけでなく、治療後の安定にもつながると考えられています。今日からできる一歩を、一緒に始めましょう!

よくある質問

舌癖を放置すると本当に歯が動きますか?

長期間にわたる舌圧は歯列に慢性的な力をかけるため、開咬や前突が進行する可能性があると報告されています。

MFTは自己流でも効果がありますか?

軽度の舌癖ならセルフトレーニングで改善する例もありますが、正しいフォームを習得するために歯科衛生士の指導を受けることが推奨されています。

ワイヤー矯正とマウスピース矯正、舌癖にはどちらが有利?

マウスピース矯正は歯列全体を覆うため舌圧の影響を受けにくい面がありますが、装着時間が不足すると逆効果になる場合も。担当医と相談し適切な装置を選びましょう。

舌癖がある子どもは早めに治療すべき?

成長期は骨格が柔軟なため、早期介入で顎の発達や呼吸機能へ良い影響を及ぼす可能性がありますが、開始時期は個々の発達状況で異なります。

矯正後に舌癖が再発したらどうすれば良い?

後戻りリスクを抑えるため、リテーナー使用とMFTを継続しつつ、必要に応じ補助装置を追加する方法が検討されます。