歯列矯正と顎関節の基礎
歯列矯正というと「歯をきれいに並べるための治療」というイメージが強いですよね!でも、その背景には顎関節の動きが大きくかかわっていることをご存じでしょうか。歯並びと顎の噛み合わせはかなり密接な関係にあり、矯正治療によって顎関節への負担が軽減する人もいれば、逆に噛み合わせバランスの変化によって違和感を感じるケースもあります。まずは、歯列矯正と顎関節がどのようにつながっているのか、基本を押さえていきましょう!
歯列矯正の目的は大きく分けると「歯並びを整える」「咬み合わせを改善する」の2つがメインといわれます。歯並びがガタガタだと、見た目の印象だけでなく、食事のときの噛みやすさや唾液の循環にも影響することがあります。一方、咬み合わせが不安定だと顎関節症を誘発するリスクもあるため、矯正治療のプランでは患者さんの顎の動き、あご周辺の筋肉の状態などを考慮していくんです。
ここでいう顎関節症とは、顎がカクカク音をたてたり、あごを開閉する際に痛みが出たりする症状のこと。噛み合わせがズレることであごに余計な力がかかり、関節に負担がかかって起こる場合があります。日常的に硬いものを食べている、ストレスによる歯ぎしり・食いしばり、うつぶせ寝の癖など、さまざまな要因が重なり合うことも多いんです。だからこそ矯正治療では、単に歯並びを整えるだけでなく、顎関節への負担を最小限にするよう設計することが求められます。
歯列矯正によって、顎関節症の改善が期待できるケースもあれば、まれに咬み合わせが変わることで違和感を覚えるケースもあります。個々の状態に合わせた治療方針が重要です。
また、現代ではワイヤーで歯を動かす従来型だけでなく、マウスピース型矯正装置(インビザラインやクリアコレクトなど)もかなり普及しています。マウスピース型は自由に装置を取り外せるため、歯みがきがしやすいのがポイント!ただし、マウスピースをこまめに着脱することで、気持ちがゆるんでしっかり装着時間を守れないと計画どおりに動かない可能性もあるんです。
ここで、ワイヤー矯正とマウスピース矯正の違いをざっと見てみましょう。
種類 | 特徴 | 歯磨き |
---|---|---|
ワイヤー矯正 | 金属やセラミックなどのブラケットを歯に装着し、ワイヤーで歯を動かす | 装置がついたまま歯磨きするためやや磨きにくい |
マウスピース型矯正 | 透明なマウスピースを定期的に交換しながら歯を動かす | マウスピースを外して歯磨きできるので比較的磨きやすい |
装置の種類によって、通院頻度や治療期間、そして顎関節への負担感も変わることがあります。例えば、ワイヤー矯正は歯をダイナミックに動かすイメージがあり、顎関節への影響は矯正専門医が管理しながら進めるパターンが多いです。マウスピース型は比較的歯に加わる力をコントロールしやすい側面もありますが、使い方を誤ると逆に顎に負担がかかる恐れもゼロではありません。いずれにしても、矯正治療全般では顎の状態を確認することが不可欠なんです!
また、噛み合わせの問題が重大な場合、矯正治療だけでなく顎の骨格そのもののバランスを考慮する外科的矯正が必要になることもあります。ただし、多くのケースでは適切な装置選びと計画的な治療で対応できますので、不安なことがあれば歯科医や歯科衛生士に相談してみるとよいでしょう!
顎関節に配慮した歯列矯正の進め方
歯列矯正を始めるときに大切なのは、まず現在の顎関節の状態をしっかり把握すること!顎に痛みや音がある方はもちろん、普段は症状がない方も検査やカウンセリングの段階で少しでも違和感を伝えておくと安心です。矯正治療は歯だけでなく骨格のバランスにも影響を与える場合があるので、顎が気になる方は特に専門医のもとで診察を受けましょう。
顎に強い痛みやクリック音があり、顎関節症と診断されている場合は、矯正治療の前に先に顎の炎症を抑える治療が必要となることがあります。
では、実際に治療を進めるプロセスをイメージしてみましょう!矯正治療では、最初にカウンセリングを受けてから精密検査へと移ります。ここではレントゲン撮影、口腔内写真の撮影、歯型の採取などを行い、あなたの歯やあごの骨格の様子を徹底的に分析。その上で治療方針が決定されます。
この流れをみてもわかるように、顎関節に痛みがある場合などは、検査段階で顎への負担がどの程度か検証したうえで、治療のゴール設定を慎重に行います。その際、歯科医師や矯正専門医がチームを組んで進めることでトラブルを回避しやすくなります。
さらに、矯正装置をつけている期間は歯磨きや食生活にも気を使わないといけません。装置と頬や唇が擦れて口内炎ができることもありますし、歯に装置がついているとプラーク(歯垢)がたまりやすくなるので虫歯や歯周病のリスクも高まるんです。マウスピース型矯正なら外してしっかり歯磨きできますが、装着時間を怠ると治療が長引くこともあるので注意が必要ですよ!
- 自己流のケアだけでなく、定期的な歯科衛生士によるクリーニングが重要
- 装置が当たる部分はワックスなどを使用して保護
- 食事内容や姿勢、睡眠中のくいしばりにも配慮
- ストレス発散や適度な運動で顎まわりの緊張をほぐす
また、矯正治療後には保定期間が設けられます。この時期にリテーナー(保定装置)をサボると、せっかく動かした歯が元に戻りかけることも。痛みや不快感がなくても、歯列が安定するまでは決められた保定時間を守るのが大切ですね!特に顎関節に不安のある方は、しっかり歯並びを安定させることで、あごへの負担を減らしていくことが期待できます。
リスク、Q&A、そしてまとめ
歯列矯正をするうえで気になるのはやっぱりリスクやデメリットですよね!矯正装置をつけることで痛みや違和感が出ることがあったり、装置が当たって口内炎ができやすくなったりすることもあります。また、矯正中の歯磨きが十分でないと虫歯や歯周病になりやすくなる可能性も。さらに、完成物薬機法対象外となる矯正歯科装置では、医薬品副作用被害救済制度の対象外になることがあるため、その点も理解しておく必要があります。
そして、忘れてはいけないのが矯正終了後の後戻りリスク。保定装置を決められた時間通りに装着しないと、少しずつ歯並びが元に戻ろうとする性質がありますので気をつけましょう。また、矯正期間や治療経過には個人差もあります。周囲の人と比べずに、自分のペースで治療を進めるのがコツですよ!
では、実際に矯正治療の方法の一例としてマウスピース型矯正のインビザラインを取り上げてみます!
顎関節症だと矯正できないの?
顎関節症がある場合でも、症状や原因によっては矯正が可能です。ただし事前に顎関節周辺の治療が必要になることも。主治医とよく相談してくださいね!
矯正中の食事制限はある?
ワイヤー矯正の場合は硬いものや粘着質のものは装置が壊れるリスクを高めます。マウスピース型の場合は取り外せるので食事制限は少ないですが、装着時間を守ることが大切です!
口内炎ができたらどうすればいいの?
ワックスで装置と擦れる部分を保護したり、市販の口内炎パッチなどで対処しましょう。長引く場合は歯科医に相談すると安心ですよ!
通院ペースはどのくらい?
ワイヤー矯正ならおおむね月1回程度、マウスピース型矯正も定期的にチェックが必要です。治療法や歯の動かし方によって前後するので、主治医と予定を確認しましょう!
矯正が終わった後、顎の痛みはどうなる?
適切なかみ合わせに近づくことで、痛みが緩和されるケースもあります。ただし顎関節症は複数の要因が絡むため、矯正が終わっても生活習慣の見直しやメンテナンスが大切です!
銀座で働く現役歯科衛生士の木村さん
最後にまとめとして、歯列矯正で顎関節にも配慮するにはまず正確な検査と適切な治療法の選択が大切。矯正期間中は歯磨きや装置の使い方に注意し、リスクを最小限におさえながら進めていくことで、憧れの歯並びを手に入れつつ顎への負担を減らすことが期待できます。顎関節の状態は人によって異なるので、ぜひ専門家の意見を参考にしながら無理のない治療を目指していきましょう!歯がきれいに並ぶことで見た目にも自信が増し、笑顔もいっそう輝くはずです!